主要人物は女性中心 それぞれの価値観に注目
そんな寅子を取り巻く登場人物ですが、序盤ではとにかく女性が多い印象です。「明律大学女子部法科」に進学する前は、石田ゆり子さん演じる「猪爪はる」が強烈なキャラクターを見せます。
良妻賢母を絵に描いたような母・はるもまた、女性は結婚して家庭に入ることが普通という考え。しかし、寅子が弁護士の道に進みたいと明かしてからは、葛藤を乗り越え娘の幸せのために全面バックアップすることになります。
また、寅子の親友・米谷花江(森田望智)は、物語の初期でいきなり若くして結婚。しかも相手は、寅子の兄である猪爪直道(上川周作)で、すぐに2人は親友から家族になってしまう驚きの展開を見せます。花江は寅子の親友でありながら、家庭で1番になりたいと料理など家事をとにかく頑張ります。
はる、花江という寅子に近しい家族が、価値観の違いを持っていることも物語に深みを与え、なくてはならない登場人物になっているのです。
豪華俳優陣のポップな演技が魅力
さらに、大学へ進学すると濃いキャラクターが次々と登場し、中でも級友の山田よね(土居志央梨)は登場時から男装を披露する驚きの演出。女性の地位の低さに常にブチ切れモードで、寅子ともたびたびぶつかりあうライバル的ポジションです。そして、桜川涼子(桜井ユキ)は華族のお嬢さまでファッションや行動が雑誌で取り上げられるカリスマ、大庭梅子(平岩紙)は学生ながら弁護士の夫と3人の息子がいる母親という意味深な設定。また、留学生の崔香淑(ハ・ヨンス)は眼鏡っ子で頑張り屋の美少女、眼力が強すぎる女子部のリーダー的存在の久保田聡子(小林涼子)も物語に華を添えています。
画面が華やかで見ていて楽しく、また登場人物が多いことでさまざまな要素が取り込まれるため、ストーリーのテンポが気持ちよくスピーディーに進んでいきます。これも、『虎に翼』の魅力の1つです。
また、男性キャラクターは寅子を常に応援する法学者の先生・穂高重親(小林薫)や、どんなことでも応援してくれる父の猪爪直言(岡部たかし)ら温かい人ばかり。この2人に加え、弁護士を目指す寅子の家に下宿する佐田優三(仲野太賀)や、花岡悟(岩田剛典)、轟太一(戸塚純貴)と演技派の若手男性俳優が担当する登場人物が、今後はメインで活躍することが予想されます。
俳優の演技力も高い上に、見やすいポップな演技を得意とする演者ばかりなので、あまり朝ドラに親しみがない視聴者でもストレスなく見られる作品となっています。