約6万個が廃棄処分に!? 「おいしいのにモッタイナイ!」
トークセッションでは、氷結ブランド担当の山岡さん、中味開発担当の佐藤さん、浜なし生産者の鮫島さん(えのき園)と三橋さん(三橋園)、JA横浜の北尾さんと渡辺さんが登壇。
まずは、JA横浜の渡辺さんが「浜なし」について「横浜市内で生産される梨のブランドで、品種は主に幸水、豊水です。一定の条件を満たした生産者が横浜農協果樹部の認定を受け、生産、販売しています。横浜で生産されている梨の全てが名乗れるものではありません」と、希少なブランド梨であることを紹介しました。
生産者の鮫島さんは「浜なしは木の上で完熟させるのですが、その見極めが難しく収穫のタイミングにかなり気を遣います。気象条件などの影響で“みつ症”になってしまうものも……」と、栽培の難しさについて語ると、もう1人の生産者の三橋さんが「みつ症は、果肉の一部が柔らかく半透明になる状態のことです。食べても人体に影響はないものですが、シャキシャキとした食感が失われるため、商品として販売することはできません」と、説明しました。
JA横浜の北尾さんは、みつ症になってしまった「浜なし」は、菓子などの加工品などに活用してきたものの、年間で約6万個(約19トン ※)が廃棄されている現状を明かしました。今回はそのうちの約2万2000個分をキリンビールが正規品と同水準で購入し、ロス削減につなげたといいます。※JA横浜調べ、2023年度末実績より
記念すべき第1弾は「浜なししかない!」
氷結ブランド担当の山岡さんは、「浜なし」を「氷結mottainaiプロジェクト」の第1弾として採用したことについて、「浜なしは果汁がたっぷりでみずみずしく、甘い味わいが氷結ブランドにマッチすること。そして、キリンビール発祥の地が横浜ということで、縁を感じたこと。その2つの理由から、記念すべき第1弾は『浜なししかない!』と決定しました」と、力強くコメント。
中味開発担当の佐藤さんは「木の上で完熟した浜なしの甘さと氷結ならではの軽やかな炭酸感との両立をめざし、味に一切妥協することなく100回ほど試作を繰り返しました。新鮮で爽やかな香りや大玉でシャリっとした食感を表現することにもこだわりました」と、通常よりも時間をかけて商品化したことを明かしました。
その後、「乾杯」が行われると、会場内には爽やかな梨の香りが漂いました。鮫島さん、三橋さんともに「飲んだ瞬間、『浜なしだ!』と感じた」と太鼓判。佐藤さんは「よく冷やすのがおすすめ。缶のままでジューシーな香りを、氷を入れたグラスに注いで炭酸感とより広がる浜なしの香りを楽しんでいただければ」と、おすすめの飲み方を紹介してくれました。
「氷結mottainai 浜なし」は、5月7日から全国のスーパーやコンビニなどで発売(350ml缶、500ml缶)。約18万ケース(350ml缶換算)を出荷する予定とのことです。ベイエリアの観光地が注目される横浜ですが、これを機に、横浜でこだわりの「浜なし」が生産されていること、そのおいしさを知っていただきたいなと思います。
※20歳未満の飲酒は禁止されています
この記事の執筆者:田辺 紫 プロフィール
神奈川県在住コピーライター。2001年2月より総合情報サイト「All About」で横浜ガイドを務める。2009年4月、第3回かながわ検定 横浜ライセンス1級取得。「横浜ウォッチャー」として、ブログ、SNSを運営。