AIに負けない子の育て方 第9回

2024年の中学入試は「弱気受験」だったというが…受験者増の人気校に見る、中受親の変化

2024年の中学入試は、受験者数が少し減ったものの受験率は過去最高に。もはや中学受験はブームではなく、選択肢の1つとして定着し始めているのかもしれません。そこで見えてきたのは、ゴールを何におくかという保護者の価値観の変化です。

自分軸を作るためには、自分の目で確かめるしかない

さて、2024年の入試を振り返りどんな学校に人が集まっているかをさっとみてきましたが、首都圏には300校近い学校があり、それぞれが目指す教育を行っています。それだけに、その中からお子さんに合う学校を見つけるのは簡単ではないかもしれません。

入試方法も、4教科だけでなく、2教科、1教科、英語入試、面接と作文、グループワークなどの新タイプ入試など、多様になってきています。ひと口に中学受験と言っても、山の登り方もさまざまです。それだけに、どんな受験にしていくのかを考えながら進まないと、情報の海の中で溺れてしまいます。

今回紹介した動向も、来年はまた変化していきます。親御さんの中には自分も中学受験経験者という人がいると思いますが、当時とは状況も様変わりしているので、自分の経験はいったん脇におき、できるだけ早いうちに通学圏内にあるさまざまなタイプの学校を見に行き、違いを感じてみてください。そうすることで、徐々にわが家ではどのような教育を受けさせたいのか、子どもにはどんな学校が合いそうか、少しずつ分かってくるはずです。

偏差値は、合格の可能性を測る数値であり、学校の価値を表す数値ではありません。また、世の中の情勢や学校の広報などさまざまな要因の影響を受けて上下します。何のために受験をするのかを考え、その上で偏差値だけにとらわれない学校選びをする目を養い、わが家にとって最高の受験を目指してくださいね。
 
今回の記事では、文字数の制限もあり、少ししか学校を紹介できませんでしたが、今本を執筆中なので、そちらではさらに詳しく学校選びの軸の作り方を紹介していきます。どうぞお楽しみに!
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この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
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