上演が発表された際には、「沢尻さんがあのブランチ役を!?」と、業界の誰もが仰天した舞台ですが、開幕すると“沢尻エリカの復帰作”という以上に、現代演劇屈指の難役の1つであるブランチの、清新な表現が話題に。“名作”の新たな魅力を引き出した舞台を振り返ります。
名優たちが演じてきた大役に“初”舞台で挑戦
淑女然として登場する主人公ブランチが、妹の夫スタンリーとの対立の中で大きく変貌してゆくさまが見どころ。約3時間ほぼ出ずっぱりでせりふ量も膨大とあって、ブランチはテクニックはもちろん、相当のスタミナを要する難役といわれています。
映画版ではヴィヴィアン・リーが演じてアカデミー賞主演女優賞を受賞し、日本では伝説の新劇女優・杉村春子さんが初演。後に栗原小巻さん、大竹しのぶさんら錚々(そうそう)たる名優たちが演じ、近年では特に、粘り強い交渉で上演を許された女形・篠井英介さんの、毅然として哀しいブランチ像が好評を博しました。
この大役に、演技は4年ぶり、しかも“初”舞台の沢尻さんが挑むというのですから、驚きの声があがるのももっとも。勝手の違う舞台という場で、彼女はいったいどんな演技を見せるのか……。今回のチケット争奪戦には、そんな好奇心から参加したエンタメ・ファンも少なくなかったようです。