国立新美術館「マティス 自由なフォルム」展に行けば、新年度に“気合が入る”わけ
東京・六本木の国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」(~5月27日)は、日本で初めてマティスの切り紙絵にフォーカスした展覧会。新年度を控えた今だからこそ足を運びたい、マティスの“熱さ”に触発される展覧会をリポートします。
現在、東京・六本木の国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」(~5月27日)は、2021年に予定されていたもののコロナ禍の影響で延期になり、実に3年の時を経て開催となった展覧会です。
展示作品約150点のほぼ全てがマティス本人の作品というぜいたくな内容。そして新年度を控えた今だからこそ足を運びたい、マティスの情熱に触発される、熱い、熱すぎる展覧会なのです!
日本初! マティスの「切り紙絵」にフォーカス
20世紀を代表するフランスの巨匠アンリ・マティス。目に映る自然の色ではなく、“心に映る色”として原色を多用する「フォーヴィズム(野獣派)」の中心人物です。
パリで頭角を表し、その後のモダンアートにも大きな影響を与えたマティスですが、84年の人生の後半は南フランスのニースに制作の場を移動。アトリエでさまざまな作品に取り組みましたが、中でも色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に力を注ぎました。
今回の「マティス 自由なフォルム」は、この切り紙絵に焦点を当てた日本初の展覧会。切り紙絵の代表作『ブルー・ヌードIV』や、この展覧会のために修復され日本初公開となる大作『花と果実』などが来日を果たしました。
病気にも負けない! マティスの情熱に触れる
会場ではマティスの作品そのものの素晴らしさを味わうだけでなく、彼の人生・芸術への思いが熱すぎて大きな刺激を受けました。
というのも、油絵の静物画からキャリアをスタートし、さまざまなジャンルの芸術家たちと積極的に親交を深めながら、あらゆる技法を貪欲に試していくのです。作品も絵画だけにとどまらず、彫刻、絵付け、舞台装置、衣装、壁画、挿絵、タペストリーのデザインまで! 彼の「とにかくなんでもやってみる」精神が伝わってきます。
72歳の時に大病を患い、ベッドでも制作できる表現手法として切り紙絵に取り組んだといわれていますが、ベッドから長い棒を使って壁一面に切り紙絵を貼っている写真などを見ると、全く病気に負けていない、マティスの底知れぬ情熱に圧倒されました。