「AIDMA(アイドマ)」の意味は? AISAS(アイサス)との違いやメリット・デメリット、企業事例も解説

「AIDMA(アイドマ)」の意味を知りたい人、必見です。本記事では「AIDMA」の定義、活用方法、「AIDA(アイダ)」や「AISAS(アイサス)」との違いなどを、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。ぜひご覧ください。

AIDMAの意味とは
AIDMA(アイドマ)の意味とは? AISAS(アイサス)との違いも解説

「AIDMA(アイドマ)」は、日常生活では見慣れない言葉ですが、ビジネスシーン、特にマーケティングの場ではたびたび使われる言葉です。そこで今回は、「AIDMA(アイドマ)」の意味や定義、上手な活用方法、「AIDA(アイダ)」や「AISAS(アイサス)」との違いなどについて、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。

関連記事:【必須】マーケティング用語59選|施策のフェーズ別・手法別に解説

<目次>
「AIDMA(アイドマ)」の意味とは?
「AIDMA(アイドマ)」と「AIDA(アイダ)」の違い
「AIDMA(アイドマ)」と「AISAS(アイサス)」の違い
「AIDMA(アイドマ)」の活用方法
「AIDMA(アイドマ)」のメリット・デメリット
ビジネスシーンで「AIDMA(アイドマ)」を活用した成功事例
「AIDMA(アイドマ)」以外に注目されているフレームワーム
まとめ

「AIDMA(アイドマ)」の意味とは?

「AIDMA(アイドマ)」とは、ビジネスにおける一種の「アクロニム」です。アクロニムとは、2つ以上の単語で構成された合成語の頭文字を単語のようにつないだものです。日本では避難訓練の「おはしも(押さない・走らない・喋らない・戻らない)」などが有名です。「AIDMA(アイドマ)」は、以下の5つの単語から成ります。

・Attention(注意)
・Interest(関心)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(行動)

上から順に、消費者が商品やサービスを購入するまでの過程を端的に示すマーケティング理論です。

・Attention(注意)
当然、最初は商品やサービスを消費者は知らない状態にあります。「Attention(注意)」は、商品やサービスを知る段階。具体的には、テレビCMやインターネット広告などで情報を得る段階です。

・Interest(関心)
次の段階は「Interest(関心)」です。「知っている」から「興味関心がある」という段階に移行します。この段階へ移ってもらうためには、魅力的なCMやターゲティング広告(年齢層や地域などでターゲットを絞った広告配信の手法)が重要です。

・Desire(欲求)
3番目は「Desire(欲求)」です。「興味関心がある」という状態を超えて「実際に欲しい、使いたい」と思う段階です。マーケティング心理学では「広告は3回見せると効果的」といわれており(3ヒット理論)、このように広告に触れる回数や、実生活での悩みなどからこの段階へ至ります。

・Memory(記憶)
4番目は「Memory(記憶)」です。多くの消費者は、金銭的、時間的、場所的リソースを加味したうえで購入します。そこからさらに、「記憶に残っているもの」は選ばれやすくなるのです。

・Action(行動)
最後が「Action(行動)」、つまり購入です。ここに至るためには、最後のひと押しが重要です。期間限定や数量限定、ノベルティの付与などで、購入動機をプラスするとよいでしょう。

「AIDMA(アイドマ)」と「AIDA(アイダ)」の違い

マーケティングの場では「AIDA(アイダ)」という理論も用いられています。これは「AIDMA(アイドマ)」から「Memory(記憶)」を抜いたもので、「AIDMA(アイドマ)」には時間がたってからも購入が期待できる持続力がある一方で、「AIDA(アイダ)」にはテンポ良く購入までを狙える瞬発性があります。

「AIDMA(アイドマ)」と「AISAS(アイサス)」の違い

「AIDMA(アイドマ)」のほかにも、「AISAS(アイサス)」という理論があります。これはインターネットの普及に合わせたマーケティング理論で、次のプロセスを示しています。

・Attention(注意)
・Interest(関心)
・Search(検索)
・Action(行動)
・Share(共有)

検索されることを重視するだけでなく、購入後に新たな消費者へつなげることも加味した理論です。

「AIDMA(アイドマ)」の活用方法

「AIDMA(アイドマ)」は、ターゲット像を明確にし、それをしっかりと分析することで、各フェーズにおける具体的な行動策が見えてきます。次の2つのポイントを意識しましょう。

・ペルソナ設定
マーケティングにおける「ペルソナ」とは、ライフスタイルや思考まで細かく吟味されたターゲット像のことです。「AIDMA(アイドマ)」の各段階における消費者のニーズにペルソナを反映させていくことで、細分化されたペルソナの行動過程が浮き彫りになってくるでしょう。

関連記事:ペルソナとは? ビジネスでの意味やマーケティングにおける設定方法、ターゲットとの違いを解説

・プロセスごとに適切なアプローチをする
「AIDMA(アイドマ)」の5つのプロセスそれぞれに適切なアプローチを当てはめていくだけで、段階的かつ効果的なマーケティング戦略が完成します。プロセスごとに分割されているため、戦略の評価・改善もスムーズです。

「AIDMA(アイドマ)」のメリット・デメリット

あらゆる施策にはメリットもあれば、デメリットもあります。ここでは、「AIDMA(アイドマ)」を利用することで得られるメリット・デメリットを解説します。施策の効果を最大限に引き出すためにも、どちらの視点もあわせ持つことは重要です。

・「AIDMA(アイドマ)」のメリット
「AIDMA(アイドマ)」の最大のメリットは、マーケティングや広告施策の最適化です。消費者行動を踏まえた戦略立てができるでしょう。また、先述したように、時間が経ってからも購入が期待できる長期的なマーケティング理論である点もメリットの1つです。

・「AIDMA(アイドマ)」のデメリット
一方で、「AIDMA(アイドマ)」は古いと言われることもあります。現在も通用する理論ですが、消費者の「今すぐ買いたい」を刺激するなら「AIDA(アイダ)」が、インターネット戦略を軸にするのであれば「AISAS(アイサス)」が最適と言えるでしょう。

ビジネスシーンで「AIDMA(アイドマ)」を活用した成功事例

実際に「AIDMA(アイドマ)」を活用した成功事例には、どのようなものがあるのでしょうか。2つの例をご紹介します。

・大手飲料メーカーの事例
Attention:世界中の人々が注目するサッカーワールドカップの期間中、テレビCMを大量に放映
Interest:テレビCM内で印象的なキャッチコピーを使用
Desire:流行に敏感な消費者がサッカーワールドカップを観戦
Memory:サッカーワールドカップをテレビで観戦する=CMを繰り返し目にすることで、自社の飲料商品を結びつけ
Action:サッカーワールドカップをテレビで観戦予定の消費者が、観戦の「おとも」にCM該当商品を購入

・大手化粧品会社の事例
Attention:ターゲット層が見る時間帯にあわせてテレビCMを放映。CMには人気アイドルや有名な女性俳優を起用
Interest:肌悩みの変化や商品の特徴を明確にし、視聴者が「自分ごと」にしやすいように工夫
Desire:公式サイトなどには実際の利用者の声や雑誌掲載履歴などを記載。無料サンプル品を配布することで購入ハードルを下げる
Memory:無料サンプルの利用者宛てに、商品サンプルつきのDMを配信
Action:サンプルの使用感をもとに購入。また、商品の注文方法はインターネットだけでなく、電話やFAX、郵便などさまざまなルートを設けることで再び購入ハードルを下げる

「AIDMA(アイドマ)」以外に注目されているフレームワーム

最後に、「AIDMA(アイドマ)」のほかに注目されている3つのフレームワームを簡単に解説していきます。

・SIPS(シップス)
「SIPS(シップス)」とは、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の普及以降、広く利用されている理論です。次の4つの単語から成ります。

Sympathize(共感):SNSで商品やサービスに共感
Identify(確認):商品詳細や自分も買えるかなどを確認
Participate(参加):リポストやシェアでマーケティングに参加
Share・Spread(共有・拡散):参加者を見た新たな消費者がさらに拡散

・AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)
「AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)」とは、先述したAISASに「C」と「E」が加えられたマーケティング理論です。次の7つの単語から成ります。

Attention(注意):消費者が各媒体を通じて商品を認識する
Interest(関心):消費者が商品に興味関心を持つ
Search(検索):消費者が商品についてインターネット上で調べる
Comparison(比較):消費者が得られた情報をもとに商品を比較
Examination(検討):消費者が商品購入を検討する
Action(行動):消費者が商品を購入する
Share(共有):消費者が商品から得られた体験をインターネット上で共有

・DECAX(デキャックス)
「DECAX(デキャックス)」とは、SNSのフォロー機能に重きを置いた理論です。次の5つの単語から成ります。

Discovery(発見):インターネット上で商品やサービスを発見
Engage(関係構築):企業やインフルエンサーをフォロー
Check(確認):より効率的かつ迅速に商品情報を確認
Action(行動):購買行動
eXperience(体験):レビュー(体験談)をSNSで共有

まとめ

「AIDMA(アイドマ)」とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの過程を端的に示すマーケティング理論です。アクロニムであり、それぞれ「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」を表しています。時間がたった後も購入が期待できるフレームワークですが、インターネットマーケティングの場合はAISAS(アイサス)やDECAX(デキャックス)なども活用すると良いでしょう。

■執筆者プロフィール
新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
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