ヒナタカの雑食系映画論 第70回

映画『かがみの孤城』で知ってほしい「6つ」のポイントを徹底解説! 原恵一監督のここがすごい

金曜ロードショーで放送のアニメ映画『かがみの孤城』における、原恵一監督の手腕が冴え渡る、「6つ」のポイントを解説しましょう。※サムネイル画像はBlu-rayソフトより

※以下、『すずめの戸締まり』のネタバレに触れています。ご注意ください。

おまけ:『すずめの戸締まり』とのシンクロも

最後に、『かがみの孤城』が新海誠監督作『すずめの戸締まり』と奇跡的なシンクロをしたポイントについても触れてみましょう。

『すずめの戸締まり』の終盤で、主人公の岩戸鈴芽は、4歳の頃の自分と出会い「あなたは光の中で大人になっていく」と告げ、「私は、鈴芽の、明日(あした)」と自己紹介もしました。

新海監督によると、もともとは鈴芽に「大丈夫、大丈夫、大丈夫」と3回繰り返すという案もあったものの、「(大丈夫の)繰り返し」も意味する言葉として、シンプルな「明日」という言葉として打ち出したのだそう。その「大丈夫」は、『秒速5センチメートル』『天気の子』など、ほかの新海監督作の重要なシーンで使われる言葉でもあります。

そして、『かがみの孤城』で喜多嶋先生=アキが最後に、こころへ(心の中で)告げた言葉も「大丈夫」でした。

「自分自身」か、「(かがみの孤城の記憶がなかったとしても)かつての自分のように傷ついている子ども」に言うか、という違いはあれど、『すずめの戸締まり』と『かがみの孤城』は、どちらも「大丈夫」をもってして、「大人になっていく」子どもの未来への希望を示した、とても優しく、尊い作品なのです。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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