海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン 第24回

飛行機「ペット同伴」に厳しい日本と寛容な海外、何が違う? 元“欧州系”CAが感じる意識の差

年始に発生した日航機炎上事故以降、客室へのペット持ち込みの是非について議論が続いています。過去に欧州系エアラインに乗務していた筆者が感じる、ペット同伴についての日欧の意識差とは?

ヨーロッパでは、高級ブランドにもペット同伴で入店できる。
ヨーロッパの高級ブティックでは、犬連れで来店する顧客のためにペット用品が用意されていたり、水が振る舞われたりします
年初(2024年1月2日)に起きた羽田空港衝突事故以来、さまざまなメディアでペットの客室持ち込み是非をめぐって論争が繰り広げられています。

筆者自身は、かつてペット同伴可の欧州系エアラインに乗務していた経験と照らし合わせてネット上の意見を興味深く読みました。中には懸念事項もいくつかあり、また日本人とヨーロッパ人の思考および文化的・歴史的背景の違いが色濃く見て取れるテーマであるとも感じました。

まずは「ペット同伴フライト」をめぐる一部の誤解や課題についてです。

隣の座席にヘビが来たらどうしよう?

ペット同乗を不安視する人からは「周囲の座席に爬虫類や昆虫などの珍しい生物が搭乗すること」を敬遠する声がありましたが、ヨーロッパの多くのエアラインでは持ち込む動物に細かい規定があります。例えば、

・機内持ち込みは犬と猫に限定
・機内では常にソフトキャリーバッグ(※)に入れること
・バッグは噛んでも破れない素材で、防水・防臭であること
・十分な換気がなされ、ペットが立ったり方向転換できる十分な大きさであること

※カバンのサイズは座席下に収納できる55×40×23センチ、重さはペット込みで最大8キロ(スイス インターナショナル エアラインズの場合)

……などで、航空会社によっては「生後満12週間以上」「1機体につき〇匹まで」「大陸間フライトのビジネスクラスでは同伴不可」と決められていたり、介助犬に関しては「機内ではリードで犬を所定位置に繋ぐ」「犬用口輪の持参必須」などの厳しい条件が提示されていることもあります。

その他の動物は、空調の整った貨物室に預け入れとなります。実際、筆者が乗務していたエアラインが中国からパンダを輸送する際には、貨物室での輸送となっていました。

つまり、多くの航空会社で「足元に収納できるサイズと体重の犬猫」に限定されているので、ちまたで危惧されている“一般的ではない動物”が横の座席に来る状況はあまり考えにくいといえます。

 非常脱出時にペットが暴れたら迷惑では?

前述の通り、搭乗中のペットは防水加工の鞄もしくはケージに必ず入れなければなりません。

緊急脱出時にペット同伴が許されているか否かは各航空会社の規定によるでしょうが、昨今ではケージ以外にもリュックサック型のペット用キャリーが発売されています。これを背負わず前に抱えるようにして持てば扱いが乳幼児とさして変わらないため、脱出用スライドを傷つける、暴れて周囲の乗客に危害を及ぼすといった可能性は低そうです。

もちろん人命優先が大前提ですが、今後、防水・防臭・防音加工を施した客室持ち込み用のバックパックが登場すれば、議論の余地がある項目かもしれません。

ペット連れの旅行は飼い主のエゴでは?

「動物の輸送には自動車や電車を使うべき」という意見もありますし、状況が許せばそれが一番だとは思いますが、飛行機に乗っているのは娯楽旅行目的で飼い主に連れられたペットだけではありません。

例えば、離島に暮らす動物愛護活動家が、やむを得ない事情で仕事の合間に他地域の里親さんのもとに限られた移動時間内で輸送しなければならない場合、飛行機が最終手段のケースもあるでしょう。慣れない移動に怯える動物たちも、飛行中に見知った人間がそばにいることで不安や恐怖は和らぐはずです。

筆者の周囲にも、日本からヨーロッパへの引っ越しが決まり多頭飼育崩壊で引き取った猫2匹を連れて移動せざるを得なかった友人がいます。ペット連れの乗客が全て娯楽旅行目的とは限らないので、ケースを分けて考えた方がよさそうです。

ただ、「旅先でペットと一緒にセルフィーを撮りたい」「かわいいペットといつでもどこでも一緒にいたい」といった理由で同乗させるのは、できるだけ避けた方がよいでしょう。
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「ペット同乗」に寛容なヨーロッパ、なぜ?
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