ヨーロッパでは「ペット同乗」は珍しくないが……
日本は、大陸から稲作が伝わったことで狩猟は副次的なものとなり、その後の仏教伝来で罪の意識からの肉食忌避が浸透しました。また神道では動物を「穢れを持ち込む存在」とし、伊勢神宮でもペット連れの参拝が禁止されています。
それに対してヨーロッパは長らく狩猟生活が営まれており、犬は人間に獲物を運んでくる忠実なパートナーとして、長きにわたり信頼関係が構築され、それに伴いしつけも必要なものとして培われてきたのでしょう。その結びつきは現代でも連綿と受け継がれ、犬を飼い始めたらトレーニングのためにまず訓練所に預けるのはこちらではごく普通のことです。
筆者もヨーロッパ移住当初は、犬がシャネルやエルメスなどの高級ブティックに飼い主とともに入店したり、レストランやカフェといった飲食の場に同伴されていたり、公共交通機関の券売機に犬料金が記載されているのを見て驚愕(きょうがく)したものですが、ヨーロッパでは犬は社会の一部として自然に受け入れられているのです。
最初こそ衛生状態を懸念したものの、しつけが行き届いているため、犬が店内や交通機関内で粗相をしている場面にはいまだ遭遇したことがありません。
こうして犬とともに歩んできた歴史的背景があるヨーロッパの航空会社では、ペットの客室同伴も恐らく日常生活の延長線上として捉えられているのだと思います。