海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン 第24回

飛行機「ペット同伴」に厳しい日本と寛容な海外、何が違う? 元“欧州系”CAが感じる意識の差

年始に発生した日航機炎上事故以降、客室へのペット持ち込みの是非について議論が続いています。過去に欧州系エアラインに乗務していた筆者が感じる、ペット同伴についての日欧の意識差とは?

「他人に迷惑をかける存在」に厳しい日本人

ヨーロッパでは、「ペット同伴可」の航空会社も少なくない。その理由とは?
ペット同伴についての捉え方は、日本人の国民性によるところも?
先述の通り、日本人には動物を「不浄の存在」として扱う宗教観があったうえ、清潔好きな国民性が顕著です。

家に上がる際には必ず靴を脱ぎ、食前にはおしぼりで手を拭き、神社仏閣に詣でる前には手と口を清めます。

かたやヨーロッパの人々は、家の中に土足で入る行為にさほど抵抗を示しませんし、レストランでは手も洗わずにパンをちぎって口に入れます。雨が降っても傘をささずにびしょ濡れで闊歩(かっぽ)する人も大勢おり、日本人に比べると不潔さに対する嫌悪感が少ないことはよく感じます。

加えて、ともすれば公園で遊びまわる子どもやベビーカー連れの母親ですら「他人に迷惑をかける存在」として認識されうる現代日本では、ペットの客室同伴は前途多難に思えます。

動物好きの1人としては、ペットたちがこの人間優先社会でもなるべく幸せに生きていく方法を模索しほしいところですし、他方で「人に迷惑をかけるのは最大のタブー」として教育されてきた日本人が、いきなりアイデンティティの拠り所を根本から揺るがすような議論をされて戸惑うのも納得できます。

誰もが満足できる解決法を見つけるのはすぐには困難かもしれませんが、議論を重ねることで状況が良い方向に前進していくことを望みます。

最後に、炎上するJAL機からの脱出に尽力した乗客乗員に賛辞を贈るとともに、この事故で命を落とした海上保安庁機の乗務員およびJAL機のペット2匹に哀悼の意を表します。
 

この記事の筆者:ライジンガー 真樹

元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。

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