ヒナタカの雑食系映画論 第66回

実写映画版『ゴールデンカムイ』絶賛の嵐となった理由を全力解説! 山崎賢人ら俳優陣の熱演が素晴らしい

実写映画版『ゴールデンカムイ』が絶賛の嵐となっています。なぜここまでの完成度のエンターテインメントとなったのか、その理由を解説していきましょう。(※サムネイル画像は筆者撮影)

「そこにある」説得力を持たせた大掛かりなロケとセット

深く雪が積もる北海道で大規模なロケを行い、アイヌ文化を徹底的にリサーチして仕上げた美術およびセットも大きな見どころです。撮影を担当した相馬大輔は、久保茂昭監督のイメージは過酷な環境下での制作でも知られる『レヴェナント:蘇えりし者』だと聞き、約1年間の準備期間を経て挑んだのだとか。毎日の圧雪作業、ソリで機材を運ぶなど、物理的にもハードな環境だったそうです。
 

中でも圧巻なのはオープニングの「203高地」での戦闘シーン。重機で地面を掘り、スタッフ総出で土のうを積むなどの作業は2週間以上におよび、撮影も10日間を要したのだとか。さらに、アイヌのコタン(集落)もタイトなスケジュールの中で造り、小樽の活気あふれる街並みもセットで忠実に再現するなど、スタッフのこだわりと尽力は並々ならぬものがあります。そのおかげもあって、実写映画で特に重要な「そこにある」と本当に思える世界が構築されていることにも、感動があるのです。

原作からアイヌ文化のトリビアを知れることも魅力的でしたが、今回の映画では衣装や小道具制作や料理監修などに大勢のアイヌの人がスタッフとして参加しており、リアリティーに大きく関わっていたのも間違いありません。また、「チタタプ」と言いながら肉をたたくのはアイヌ全般の文化ではなくアシリパの家独自のものだと言及されたり、アシリパの祖母が鼻の下を人差し指でなでるのは改まった席でのアイヌの女性のあいさつであることなど、原作からのアップデートがあるのも見逃せません。

VFXのクオリティと『ハイロー』監督ならではの大胆でスピーディーなアクション

本作のさらなる魅力は大胆でスピーディーなアクションの数々。恐ろしい熊とのバトルも描かれており、そのふさふさした毛並みの表現も含め「本物」と思えるVFXのクオリティも世界最高峰だと断言できるものでした。
 

さらに、久保茂昭監督はドラマおよび『HiGH&LOW』シリーズで、すでに日本映画の枠組みを超えたような大掛かりなアクションを手掛けており、カメラワークやスケール感からも「同じDNA」を感じることができました。加えてアクション監督は『キングダム』シリーズでも山崎賢人とタッグを組んでいた下村勇二。その山崎賢人が実際にソリで引きずられるアクションをもこなしたクライマックスは本作の白眉でしょう。

ちなみに、久保茂昭監督は漫画『ゴールデンカムイ』のファンで、「グッズを集めているくらいオタク的に好きな作品」だったのだとか。その愛情が映画本編にほとばしっているのは言うまでもありません。アクションだけでなく、雪景色の中で、2人の主人公がただ「いる」シーンも、スクリーンで本当に見て良かったと思えるものでした。

なお、本作のアクションのクオリティに驚いた人には、久保茂昭監督作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY』をおすすめします。こちらはオープニングからの「パルクール」アクションから度肝を抜かれますよ。
 
 
次ページ
それでも残る不満点は……
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • どうする学校?どうなの保護者?

    「PTAがないと保護者は学校や行政に要望できない」はホント? 思い込みが要望の実現を妨げる例も

  • 「正直、日本ってさ…」外国人に聞くぶっちゃけニッポン

    「身長が193センチあるので……」日本大好きなニュージーランド人が、日本の電車で困っていることは?

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    国鉄特急を回顧する写真展を鉄道博物館で開催! 今はなき「絵入りトレインマーク」も展示

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『先生の白い嘘』のインティマシー・コーディネーター不在を改めて考える。「入れれば万事OK」ではない