『キョコロヒー』で提示したバラエティの対応力
歌手としては卒業後も大活躍できそうな齊藤さんですが、バラドルとしても注目を集める存在です。出演する『キョコロヒー』が人気となり、テレビ関係者の間で独特な齊藤さんのキャラクターは好印象を持って受け入れられています。現在は、グループ活動があるため、バラエティ番組への参加は限られています。特に2023年は、『キョコロヒー』のレギュラー出演に加え、主演ドラマの撮影もありました。日向坂46としても大活躍の1年だったので、かなりタイトなスケジュールだったと思われます。
スケジュール的には、卒業することで自由になるため、今後は多くのバラエティ番組に出演することになりそうです。特に卒業コンサートの4月5日は、テレビ局の改編時期とも重なるナイスタイミング。さらに、齊藤さんの魅力を拡散できる番組への出演が期待されます。
バラエティ番組における齊藤さんの魅力は、どこかアイドルらしくないところにあります。特にホームである『キョコロヒー』では、共演するヒコロヒーさんが驚くような、天然で物おじしない発言を繰り広げ、齊藤さんの率直すぎて、まったく忖度しない言動が面白く番組を盛り上げています。
このキャラクターは、レギュラー出演するラジオ番組『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)でも生かされ、共演するドランクドラゴン・鈴木拓さんや、TOKIO・城島茂さんへ、ズケズケと物申す展開が人気です。
そんな齊藤さんは、『キョコロヒー』で番組中にしっかりとヒコロヒーさんに怒られ、バラエティ番組のいろはをたたき込まれています。天然ボケなかわいい性格はそのままですが、忖度(そなく)なしの発言はテレビで使えるギリギリのバランスで行っている様子。
このバラエティ力が他の番組でも生かせれば、一気に“バラドル”としても人気を獲得できるでしょう。
俳優としては未知数ながら、『泥濘の食卓』で見せた可能性
まだ出演作品も少なく、未知数だといえるのが俳優業です。個人で本格的な演技を披露したのは、主演を務めた『泥濘の食卓』が初といえるでしょう。ただ、この『泥濘の食卓』で演じた捻木深愛は素晴らしいものでした。ドラマは、毒親に育てられ「自分には何の取りえもない」と思い込んでいる深愛が、勤務先となるスーパーの店長と不倫することから始まります。いつの間にか店長の家族の中にも侵食していき、これまでになかった不思議なパラサイト不倫を繰り広げるストーリー。
深愛は思い込みが激しく世間知らずで、時にはストーカー的な行動も平気で行うサイコパスな一面も。齊藤さんは、目の奥に力のないなんとも不気味な演技で、深愛の魅力を表現することに成功します。場面によりコロコロ変わる表情の作り込みやセリフの抑揚の付け方もうまく、俳優としての才能を感じさせました。
今後、卒業することで俳優としての仕事も増えると思われますが、次回作がどんな作品になるのか楽しみな俳優の1人です。齊藤さんの魅力を伝えられる作品に出会えれば、俳優としても大ブレークする可能性を感じさせています。
新世代のアイドルとして、マルチに活躍できる才能
ここまで紹介した通り、齊藤さんはマルチに活躍できる才能を秘めています。さまざまなスターがいる芸能界では、なにか1つに絞って活動した方が活路を見いだせる場合もあります。ただ、齊藤さんの場合は、アイドルというバックボーンをうまく使いながら、歌手、バラドル、俳優とさまざまなジャンルで活動する方が、相乗効果で人気を獲得できる可能性が大。人気グループを卒業した後に、いきなり名前を聞かなくなるアイドルも多い中、齊藤さんはどこまで羽ばたけるのか。2024年は注目の年となりそうです。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。