結論から申し上げれば、ものすごく面白かった! アニメーションの豊かな表現それぞれに大きな感動がありますし、 寺田心や鈴木梨央や安藤サクラら豪華なボイスキャストの演技も素晴らしく、子どもが活躍する正統派な「ジュブナイルもの」として老若男女におすすめできます。
ジブリ好きだけじゃない、「新しい時代のアニメ映画」を見たい人にも刺さる
そして、何よりも重要なトピックは、スタジオジブリの「後継」といえるアニメ制作会社・スタジオポノックの長編第2作であること。ジブリが好きな人にもおすすめできるのはもちろん、「新しい時代のアニメ映画」を見たい人にも大推薦できるのです。ポノックの来歴を簡単に振り返りつつ、『屋根裏のラジャー』のネタバレに触れすぎない範囲で、その理由を記していきましょう。2023年はジブリとポノックの最新作が公開される年に
スタジオポノックは、スタジオジブリの制作部の解散に伴って退社したプロデューサーの西村義明が、「ジブリの血を引いた作品を作る」ことを決意して2015年に設立しました。そして、米林宏昌監督によるポノックの長編第1作『メアリと魔女の花』が2017年に公開されたのです。しかし、その2017年に宮崎駿監督は引退を撤回して新たな長編映画の制作を発表。2023年7月にはジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が公開されました。
さらに、『屋根裏のラジャー』は当初2022年夏の公開を予定していましたが、働き方改革による作業時間の減少、フランスの新たなデジタル技術の導入、さらにコロナ禍も重なり、何より作品のクオリティを追求したことなどから制作が遅れ、約1年半の公開延期となりました。 そのため、一時は制作部が解散したジブリの最新作と、その後継でもあるポノックの最新作の両方が2023年に公開されるめぐり合わせとなったのです。