公表した企業のその後
そして実際、自ら「偽装」を公表をした企業はスルーされた。ニュースで1日程度で報じられたが、マスコミから阪神阪急ホテルズのようにボロカスに叩かれることもなく、「会見を開いて社長に謝罪せよ」なんて迫られることはなかった。世間もマスコミもネットも「阪神阪急ホテルズ」をボロカスに叩いて血祭りにあげたことで、この方面の話題に食傷気味だったのである。みな「次のネタ」を求めているので、「阪神阪急ホテルズみたいな不正」の話を聞いても「ああ、またか、最近こういうの多いね」で終了だ。
「データ不正改ざん」や「保険金不正請求問題」でも似たケースが
実は一般消費者が気にもとめていないだけで、このような「後発者利益」を活用して、危機を乗り切った企業は意外と多いのだ。社会問題になった日本のものづくり企業の「データ不正改ざん」も、神戸製鋼のケースはマスコミもネットも大騒ぎだった。その後も、複数の企業で同様の問題は発覚したが、それほど叩かれていない。中古車自動車販売店の保険金不正請求も同じで、ビッグモーターは大炎上したが、他の会社で同様の不正事案が発覚しても社会はそれほど関心がない。
こういう「世論」の動きを先読みしてダメージを広げない対応をすることが、企業危機管理の真髄だ。
この記事の筆者:窪田 順生
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。