なぜサイゼリヤは“スルー”されたのか
なぜこんな不可解なことが起きるのかと首をかしげる人も多いだろうが、我々のように企業危機管理をなりわいとしている者からすれば、これはちっとも不可解なことではなく、セオリー通りの現象だ。では、そのセオリーとは何かというと、「異物混入などの食の安全を揺るがすような事故は後発者利益が得られやすい」ということだ。
つまり、世の中的には「丸亀製麺のカエル混入」でこの方面の話はもう終わっているので、「サイゼリヤのカエル混入」が起きても「ああ、またか、最近こういうの多いよな」くらいのリアクションになるということなのだ。
先ほども申し上げたように、丸亀製麺とサイゼリヤのケースでは「異なる店舗で同時発生的に起きた」という部分が決定的に違うところであって、サイゼリヤの調理場の安全チェック体制に疑問を抱くような事案だ。しかし、世間的には「同じ不祥事」として認識するのでスルーをしてくれるのだ。
こういう傾向があることを企業危機管理のプロはよく分かっている。だから、今回の「カエル混入」のように「後発者利益が得られる食品不祥事」が起きた際、積極的に自分から社会に公表をするという作戦を取る。