世界を知れば日本が見える 第33回

2023年の「日本」は世界からどう見られている? 訪日外国人に印象を聞いてみると……

1月に約149.7万人だった訪日外客数は、9月には218.4万人以上になるなど、インバウンド経済が盛り上がっている。日本に来る外国人は、本当のところ日本のことをどう思っているのだろうか。

フレンドリーな日本を悪用する人も

日本はフレンドリーな国であるというのも広く浸透しているようだ。逆にそれを悪用する人たちもいて、炎上系YouTuberなどが傍若無人な動画をアップするなどして逮捕者まで出す事態になっている。直近では、無賃乗車するなどして日本を旅行するという悪ふざけの動画が公開され、JR九州の古宮洋二社長が「犯罪行為で、毅然とした態度を取りたい」と述べたと報じられている。

YouTubeを見ると、日本の観光地や文化、旅行アドバイスなどに関する動画は大人気になっていて、再生回数が数百万回の動画がゴロゴロある。コメント欄に目を通しても日本に好意的なものが非常に多いことが分かる。
 

海外に行った時の「日本人」の扱い

逆に、筆者もこれまで数多くの国を訪れているが、日本人ということで嫌な思いをしたことはほとんどない。韓国では街で酔っ払いにこちらが日本人だと分かると絡まれたことがあるがそれ一度だけ。シンガポールでは、タクシーの運転手と第二次世界大戦時の日本の話になって口論になったことがあるくらいだ。

パキスタンを取材中に、同国の諜報機関員に捕まった時ですら、日本人であるという理由でことなきを得たことがある。

ここまで見てきた通り、「日本」のイメージは世界でもポジティブに受け取られることが多い。そんな日本という「ブランド」はこれからも大事にしていくべきだろう。
 

この記事の筆者:山田 敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。

X(旧Twitter): @yamadajour、公式YouTube「スパイチャンネル
 
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