寒さ対策などの注意事項
注意事項としては、まず寒さ対策だ。大井川鐵道の旧型客車は蒸気暖房に対応しているが、電気暖房には対応していない。SL列車の場合は冬は暖かくて快適なのに、この普通客車列車は暖房が使えないので、これからの時期、特に2往復目の復路以降は寒そうだ。昼間は暖かくても夜は冷え込むのでセーターやマフラーなど防寒具は忘れないように準備しておこう。
また旧型客車は車軸発電なので、走行中は良いとして、長時間停車中はバッテリーに負担がかかる。何分にも古い車両なので、バッテリー保護のため室内灯を消すこととなる。
夜間の金谷駅および川根温泉笹間渡駅では車内が真っ暗となるので注意を要する。ホームで待機することになるだろう。
旧型客車列車の魅力は絶大
こうした不便な点はあるものの、旧型客車列車の魅力は絶大だ。3往復してしまう人が続出してしまうのもうなずけるだろう。シニアにはノスタルジーあふれる列車旅を提供するであろうし、若い人には非日常な新たな鉄道旅の体験となるかもしれない。現代の快適な車両とは別の次元のレトロな汽車旅を、一度体験してみてはいかがだろうか?
取材協力=大井川鐵道
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(ともに平凡社新書)がある。