食欲の秋、山梨県で本当においしいジビエを存分に楽しみたい!

ジビエの品質管理に力を入れ、「やまなしジビエ」を掲げる山梨県にはジビエを存分に楽しめるスポットがたくさんあります。ジビエがおいしいシーズンだといわれる秋の山梨県に、すご腕スナイパーや絶品ジビエを堪能できる隠れ宿、ビール醸造所のユニークなジビエ中華を訪ねてみました。(取材協力:山梨県農政部販売・輸出支援課)

クラフトビールに合うのはやっぱりジビエ中華!


山梨県はワインだけでなく、ビール醸造も盛んで多種多様。北杜市にはいくつかクラフトビールのブルワリーがありますが、2022年11月にオープンした新たなスポット〈MANGOSTEEN HOKUTO(マンゴスチン ホクト)〉は、ブルワリーである〈万珍醸造〉の他、ビールやワイン、メスカルなどを扱う酒屋とタップルーム〈万珍酒店〉、中華料理が食べられるビール食堂〈万珍包〉などが入ったユニークな複合施設です。

山梨ジビエ
ここは一体何? 工場の倉庫のような、ちょっと変わった店構え

コンセプトは「万(よろず)、珍(めずらしい)」。店内に一歩足を踏み入れると、ここがどこだか分からなくなるような八百万で不思議な雰囲気が漂っています。ダンス会場のような巨大な空間はアートギャラリー風の空気感があり、酒屋としてさまざまなお酒が愉快に並んでいるのはもちろん、天井にはミラーボールがぶら下がり、脇からライオンのオブジェがひょっこり顔を出し、タップルームの横にはDJブースもあります。急な階段を上がった、まるで舞台のようなスペースの奥がビールの醸造所になっています。

山梨ジビエ
窓からは南アルプスの山々を見渡せる絶好のロケーション! ここで飲むビールは最高でしかありません

「北杜市には祖母の別荘があったので、昔から家族でよくこの辺りへ遊びに来ていて、親しみのある地域でした。いつか北杜で何かやりたいと思っていたら、たまたまここが空いていることを知って。以前はカメラの三脚を作る工場だったんです」と話すのは、代表の齋藤大典さん。広大なスペースは、トラックが荷物を降ろすターミナルだったとのこと。全て自分たちのDIYで半年程かけて改装したそうで、手作りの抜け感あるゆるーい雰囲気が、おしゃれでありながら気取らない居心地良さを感じさせます。

山梨ジビエ
鹿肉餃子、鹿肉の麻婆豆腐、鹿肉の腸詰を、万珍醸造のビールとともに! 町中華のような親しみやすい雰囲気の店内

ビール醸造所の奥には秘密の扉(?)があり、中は食堂〈万珍包〉になっています。台湾や中国をメインにした料理は、地元食材を多く使い、シカ肉はすぐ近所にある〈明野ジビエ肉処理加工施設〉から仕入れているそうです。

「うちは元々ケータリング事業を長くやっていたので、ジビエは昔から使っていた食材で馴染みがありました」と齋藤さん。ジビエ中華のメニューも豊富で、麻婆豆腐や腸詰はややスパイスを効かせたピリ辛でエキゾティックな味わい。餃子はビールを造ったときにできる麦芽かすを皮に混ぜこんでいるそう。どの料理も間違いなくビールに合うに決まっています。

山梨ジビエ
ビール醸造所は誰でも気軽に見学できます。スタッフにぜひ声をかけてみて

ジビエ中華のおすすめペアリングは、万珍醸造の定番ビール「NEW COLONY」。苦味控えめのフルーティーな風味の中にほんのりクローブのようなスパイス感があり、ゴクゴク飲めて食欲を増してくれるようなビールです。

「このビールはベルギーで昔から造られていたセゾンビールで、農家が暇な農閑期にその土地の野生酵母で造っていたのが始まり。その素朴で田舎っぽい感じがここの雰囲気に合い、ジビエにもピッタリだと思います」

タップルームでは常時10種類ほどのビールが楽しめ、季節によって変わる新しい味に出会えます。赤しそやローズマリーなどのハーブ、桃やプラムなどの果物など、地元でとれるさまざまな食材を使ってビールを仕込んでいます。

自分が飽きないように、楽しいことを仕事にしていきたいという齋藤さん。〈MANGOSTEEN〉は東京世田谷にも拠点があり、ケータリングや音楽イベントオーガナイズ、旅行会社など、さまざまな事業を多彩に展開する面白い会社。近年はコロナ禍であまり活動ができなかったそうですが、これからはさまざまな新しい試みを計画中。今後の動きが楽しみな、ワクワクするスペースです。建物の隣には〈GASBON METABOLISM〉という巨大なギャラリーもあるので、興味がある人はこちらもぜひお立ち寄りを。

■MANGOSTEEN HOKUTO
https://mangosteen.vc/mangosteen-hokuto/

今回ご紹介した店の他にも、「やまなしジビエ」は山梨県内のさまざまな飲食店で楽しむことができます。2023年11月1日(水)~2024年2月29日(木)の期間は「やまなしジビエフェア」を開催! ジビエが1番おいしい季節は、行楽にもベストシーズン。紅葉に温泉に山登りに、ぜひ山梨県へ行ってみてください。

■やまなしジビエフェア2023
https://www.pref.yamanashi.jp/nou-han/gibier/gibier_fair2023bosyu.html

■おいしい未来へ やまなし
https://www.pref.yamanashi.jp/oishii-mirai/
※生産者の技が光る逸品やここだけの食材、地球環境と共存するための新しい取り組みなどを紹介しています。

取材協力=山梨県農政部販売・輸出支援課

この記事の執筆者:江澤香織
ライター、エディター、プランナー。食や旅、クラフトなどを中心に雑誌、Web、広告などで執筆。企業や自治体などと観光促進コンサル、地域の文化を深掘りするツアー開発なども行う。著書『青森・函館めぐり クラフト・建築・おいしいもの』(ダイヤモンド・ビッグ社)、『山陰旅行 クラフト+食めぐり』(マイナビ出版)など。ライフワークは街歩きとものづくりの現場探訪。発酵食品/茶/縄文/建築/器/餃子/猫好き

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    祝・岡田将生&高畑充希結婚! ドラマ『1122 いいふうふ』5つの魅力から「この2人なら大丈夫」と思えた理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】