ヒナタカの雑食系映画論 第32回

『君たちはどう生きるか』の宮崎駿監督だけじゃない! 活躍し続ける80代&90代の映画監督たちがすごい

『君たちはどう生きるか』の宮崎駿監督は現在82歳。ほかにも現役で仕事を続けている、80代&90代の著名な映画監督がいます。年齢を重ねても衰えを感じさせない、いやさらにパワフルになっているともいえる、その最新作を紹介しましょう。​​​​​​​(c)2023 Studio Ghibli

『君たちはどう生きるか』の宮崎駿監督は現在82歳(企画が始まった7年前の2016年の時点で75歳)。その年齢であれだけの映画を作り上げたことに迫力を感じさせますし、劇中で年老いた宮崎駿自身の投影と思われるキャラクターがいるのも印象的です。
 
『君たちはどう生きるか』場面写真
『君たちはどう生きるか』の劇中キャラクターの”大伯父(おおおじ)”
(c)2023 Studio Ghibli

宮崎駿監督に限らず、世の映画監督には年齢を重ねても衰え知らず、むしろさらに作家性が濃くなったり、作品そのもののとてつもないパワーを感じたりすることもままあります。ここでは、そのように80代&90代になってもなお現役の監督による、その独特の魅力にあふれる最新作を紹介していきましょう。

※以下、日本で映画が公開された時の年齢を記しています。
 

1:デヴィッド・クローネンバーグ監督(80歳):『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(現在劇場公開中)


『ザ・フライ』などで知られるクローネンバーグ監督は、精神と体が変容していく様を描く、奇妙でグロテスクな映画を多く手掛けてきたこともあって、良い意味で変態だと称賛されています。

その最新作は「体内で新たな臓器を生み出すショーで成功している男」が主人公となった近未来SF。クローネンバーグのファンですら引いてしまうほどの、ユニークでキッチュな世界観を目いっぱい楽しめる内容となっていました。性的な話題も含め「PG12指定」に収まっていない印象もありますが、慣れてくると心地良いとさえ思えてくるのが不思議です。
 

2:ダリオ・アルジェント監督(82歳):『ダークグラス』 


『サスペリア』などでホラー映画の巨匠と称されるダリオ・アルジェント監督の10年ぶりの新作は、盲目の女性が少年と共に殺人鬼から逃げ惑いつつ戦うサスペンス。ハラハラドキドキの攻防戦が展開する、85分の上映時間で程よくまとまった快作に仕上がっていました。

PG12指定ではやや甘い鮮血が飛び散るショッキングな演出、暗闇を生かした画作りはまさにアルジェント監督印で、そこに全く衰えを感じさせません。サディスティックに人間を追い詰める物語でありながら、だからこそ犯罪によって傷ついた人たちに寄り添う優しさも感じさせます。


>次のページ:リドリー・スコット、ポール・バーホーベンなどの大御所監督も80代
 
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『グラディエーターII』が「理想的な続編」になった5つのポイントを解説。一方で批判の声も上がる理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】