AIに負けない子の育て方 第3回

たった1年の受験勉強で最難関中に続々合格! 特色入試で「京大」に受かった“意欲ある子”はどう育ったのか

旅を通して生きる力を育てた結果、子どもが最難関校に最短距離でたどり着くことができたら、最高ですよね。旅育メソッドを提唱する村田和子さんのお子さんは、まさにそんな道を歩んでいます。現在京都大学に通う息子さんが、旅を通して育んだ力とは?

子どもの主体性を育む旅育メソッド

さらにそれを強化したのが、村田家の子育ての姿勢です。親として心がけていたのは、子どもが何かに関心を持ったときには、それをサポートすること。そうして子どもの選択肢を増やしていったそうです。

また、子どもを旅のパートナーとして尊重し、受験についても子どもが主体で一緒に考えるという在り方です。
 
驚いたのは、受験勉強を始めてからも月に1回の旅は続けていたこと。4月に沖縄、ゴールデンウィークはプサン・長崎を寄港するクルーズ、夏休みには夏期講習のオプション講習は取らずに小笠原諸島に出かけています。

受験生の夏、小笠原国立公園に
6年生の夏に小笠原諸島へ(画像:村田和子さん提供)

受験の世界では、6年生の夏は合否を分ける天王山ともいわれ、夏期講習でびっしりというのが当たり前。そんな中、講習を取らずに旅行に行くというのは、普通はなかなかしづらいことですが、その選択も子どもと一緒に決めています。小笠原諸島では、環境問題への取り組みや、独自の生態系を自分の目で見るという貴重な経験ができました。

さらに、12月には鎌倉・湘南に小旅行に出かけていますが、なんとそのエリアに関する問題が、その年の栄光学園で出題されるというラッキーなことが起こりました。
 
そんなマイペースを貫いた中学受験も、見事満開の桜を咲かせて終わり、最終的には、第1志望校だった東京学芸大学附属世田谷中学に進学。高校受験を経て東京学芸大学附属高等学校に進学し、これまた第1志望の京都大学に、特色入試(※)で合格しました。

受験直前に行った鎌倉・湘南エリアの問題が出題されたというラッキーも(画像:村田和子さん提供)
受験直前に行った鎌倉・湘南エリアの問題が出題された(画像:村田和子さん提供)

 

子どもの好奇心を刺激し、主体性を育む旅育メソッド

こう書くと、特別な子だからできたのではと思われるかもしれません。確かに、悠さんは地頭のいいお子さんだったかもしれません。でも持って生まれた能力を開花させたのは、旅での経験だと感じました。

今、教育の世界では探究が注目されています。探究というのは、自ら課題を見つけ、なぜそうなのかを深く考え、すじ道をたどって明らかにすることですが、最初の1歩は好奇心であり、何かに興味を持つことから始まります。

旅には、子どもたちの好奇心を刺激する機会がたくさんあります。村田さんの旅育メソッドは、子どもの探究心を育むメソッドでもあります。
 
一生モノの生きる力を育てるという視点で、親子で旅に出かけませんか?


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(※)特色入試=京都大学が設けている入試制度のこと。高校の成績、学習意欲や部活動などの成果や課外活動における実績、志望学部に必要な基礎学力や意欲を、学部別の考査や論文なども含めて総合的に評価して合否を判断する。総合人間学部は、特色入試も学力型ということで、通常の入試とは異なる思考力を測る問題での入試が12月にあり、1月の大学入学共通テストとの合計点で合否が決まる。


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村田 和子さん
旅行ジャーナリスト・旅育コンサルタント。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱。著書に『旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ』(日本実業出版社)。

・村田和子さんの記事一覧はこちら


この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
 

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