「週ごとに担当学級」「日程ごとに参加者募集」の方法も
関西でも「パトロール」の当番をやめたPTAがあります。ある公立小学校のPTA役員、宮瀬とまとさん(漫画家)によると、パトロールのやり方やルートは何十年も昔に決めたときのままで、以前から保護者の不満が噴出していました。そこで、各家庭への当番の割り振りをやめることに。
2022年度からは「この週は3年1組、次の週は3年2組」など、「週」ごとに「担当クラス」を決めて参加を呼びかける形にしたところ、やはり大好評だといいます。
また、以前はパトロールをした後に学校まで足を運び、ノートに報告を記入しなければいけませんでしたが、Googleフォームで報告を行えるようにしたところ、これもとても喜ばれているそう。
2023年度はさらに、パトロール時に首から下げるカードに、報告フォームのQRコードを印刷したところ、報告数が大幅に増えたとのこと。ちょっとした工夫で、保護者の行動を自然と促しているようです。
当番を割り振るのをやめ、希望者を募るやり方に変更した例も、時々聞きます。例えば都内のある小学校のPTAでは、保護者がアプリを作成して、各日程ごとに旗振りの参加希望者を募る形に変更。やはり、保護者からはとても歓迎されているようです。
当番だけでなく、活動ごとなくした例もあります。前回、解散事例として紹介した立川市の小学校のPTAでは「馬出し&回収の当番」を行っていました。学校近隣の道路を車両進入禁止にするスタンド(馬)を設置&回収するため、希望者で当番を組んでいたのです。
でも、PTAがなくなれば当番は組めなくなります。役員さんたちは、今後どうしたものかと悩みましたが、もともと当番にあたっても行かない人はそこそこいたこともあり、思い切ってやめることに。2023年春のPTA解散からこれまでのところ、特に問題は見られないということです。
お金を払って当番表作成をアウトソースって、本当に必要?
PTAでは「当番」の悩みを聞くことがよくありますが、今回紹介したように、やり方やルールを見直すことで、保護者の負担がぐっと軽くなる例はいろいろとあります。
保護者や教職員から集めた会費から数万円を払って、当番表作成を外注する例も聞きますが、「当番表はそこまでして必要なのか?」という点から、1度話し合ってみてはいかがでしょうか。
ただ、PTAでこれまで続いてきたやり方を変えようとすると、意外と大変な場合もあります。
例えば、取材した中には、当番をなくすまではいかなかったものの「ガチガチだったルールをゆるめ、保護者の負担がずっと軽くなった」という例もありました。簡単そうでは? と思ったかもしれませんが、大きな誤解です。保護者がルールの見直しを提案したところ、ある団体が立ちはだかったのです。
何が起きたのか? 続きは次回以降、改めてお伝えできたらと思います。
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この記事の執筆者:大塚玲子 プロフィール
ライター。主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。