子どもが減っていく残念な国、日本。「児童手当の拡充」だけでは少子化が止まらないわけ

厚生労働省が発表した「令和4年の人口動態統計月報年計」によると、令和4年(2022年)の出生数は77万747人と過去最低を記録しました。今、社会が本当に求めている「少子化対策」とはどのようなものなのかを考えます。

親と子のため“だけではない”施策を

現在、子どもがいても変わらずに働ける社会を築くため、「その周りの人々」に配慮したり評価したりする動きがあります。

育休を取った社員がいる部署に対して、そのサポートや代わりに業務を行った社員を高く評価する企業や、同僚に対して「育休職場応援手当」といった見舞金を出す動きを見せる企業などが増えているのです。

これらの施策は一見当事者たちに向いていないようにも見えますが、長期的な目で見れば、育休明けに「おかえり」と温かく迎えてくれる職場の基盤づくりの一端を担っているといえます。

両親の育休取得に向けた取り組みが注目される中、「サポートする周囲をサポートする」という動きは、両者にとってメリットとなるのではないでしょうか。

一方で、男性社員が育休を取ったらその社員に祝い金を贈るといった、少々首をかしげてしまう制度を作った企業があることも確か。今後さらに子育て世代を応援し、支え、全員が納得する形で就業できる社会になるためには、こうした施策のブラッシュアップも必要になるでしょう。

現状では少々評価の低い「異次元の少子化対策」も、中小企業の「周囲の社員への応援手当」などに対して政府が後押しを強化するとしており、今後こうした動きがさらに多くの企業に広がることが期待されています。

「子どもを持ちたい」と思う人を増やす少子化対策とは

現在多くのメディアで取り上げられている少子化対策といえば、児童手当の拡充についてや、それによる国民の負担増の可能性について。もちろんそれも重要な話であり、われわれの生活に関わることとして注目しなければなりません。

しかし、その中の「幼児教育・保育の処遇改善」や「周囲の社員への応援手当」といった、子どもと親を取り巻く人々への施策が盛り込まれていることにも注目していくべきだと考えます。

重要なのは「子どもとその親、そして社会全体にプラスの効果を与える、より包括的な施策」。こうした動きが、巡り巡って「子どもを持ちたい」と思う人を増やしていくのではないでしょうか。


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マサキヨウコ プロフィール
子ども向け雑誌や教育専門誌の編集、ベビー用品メーカーでの広報を経てフリーランス編集・ライターに。子育てや教育のトレンド、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。
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