「危ないじゃないか!」「だいたい母親が……」公園でキレる高齢者に、どう折り合いをつけるべきか?

長野市の公園が、「子どもの声がうるさい」との苦情を受けて閉鎖を決定したと話題になっている。子どもの遊び場が減り続けるなかで、苦慮する保護者も多い。今回の話題とは直接関係ないが、数週間前に公園トラブルを経験したという40代女性から体験談が寄せられた。

画像はイメージ

長野市の公園が、たった1人からの長年にわたり続いたクレームに対処しきれず、閉園を決めたというニュースが話題になっている。市民にももの言う権利はあるので、クレームをつけた人だけを責めるわけにはいかないが、それでなくても子どもたちが遊べる場所が減っている今、もっと話し合って解決策を出せなかったのかとも思う。
 

球技ができる場所がない

「うちの子、サッカーをやっているんですが、個人で練習できる場所がないんですよ。マンション住まいだし、近隣の公園も球技禁止が多い。自主練といっても、壁さえあればいいんです。キックやボールコントロールの練習をしたりするだけなので……」
 

困惑した表情でそう言うのは、ホナミさん(45歳)だ。ある日、10歳の長男が「いい場所見つけた」というので一緒に行ってみた。近所の公園のすぐ脇にある壁だった。公園施設の一部のようにも見えるが、あまり人が来ない場所なので、夕方ならとホナミさんもついていった。
 

長男が練習している間、ホナミさんは近くに立って見ていた。途中、公園管理の人が通ったが、ニッコリ笑って通り過ぎて行ったので「大丈夫みたいだね」と長男も大喜び。
 

短時間だが毎日、練習に通うようになった。1週間ほどたったとき、最後の1本と長男が張り切って蹴ったボールが壁から外れて、壁の向こう側へと転がっていった。あわててボールを取りに行った長男のあとをついていくと、そこには公園によくあるベンチが4、5基ほど設置されていた。その一番壁に近いベンチに70代くらいの犬を連れた男性が座っており、「危ないじゃないか!」と激怒。長男が直立不動になっていた。
 

「すみません、と思わず長男の後ろから声をかけたんですが、『ぶつかってケガをするところだった、どうしてくれるんだ』と大騒ぎ。男性が座るベンチのあたりでは、スピードを失ったボールがコロコロ転がっていっただけなのに。その人のあまりの騒ぎ方に『ケガするような勢いはなかったはずですけど』と言ってしまいました」
 

ホナミさんと男性のにらみ合いが続いた。
 

「だいたい母親が……」と責められて

ホナミさんは、「帰ろう」と息子に声をかけた。これ以上ここにいたら、もっと不愉快な思いをするのが分かりきっていたからだ。だが一足、遅かった。
 

「だいたい母親がそんなふうだから、ボールを使ってはいけない場所で子どもがサッカーなんかするようになるんだ」
 

その一言がホナミさんの心に火をつけた。
 

「ボールが当たったわけでもないし、ベンチだったらいくらでもあるんだから、あちらのベンチに座ったらいかがですか? ボール使っているのはそちらからなら見えたんじゃないですか? と言ってしまいました。
 

私たちの位置からベンチは見えなかったけど、後日、確認したらベンチに座った人からはかろうじてボールを使っているのは見えるし、音だって聞こえるはず。わざわざ壁の手前のベンチに座ったのは、何かあったら文句を言ってやろうと待ち構えていたんじゃないかとまで思いました」
 

その後、長男は行きづらくなったのか壁打ち練習には行かなくなった。ホナミさんは時折その場所を確認するが、まれにその男性が座っていることはあった。壁から1番遠いベンチにいたという。
 

「つい先日、そこで子どもたちが遊んでいたんですが、その男性、子どもたちに向かって『うるさい!』って叫んでいたんですよ。公園で静かに遊ぶなんて、子どもには無理ですよね。もともとクレーマーなのかもしれません。うちは引っ越してきて数ヶ月しかたっていないので、地元の噂にはまだ疎くて。だからあの公園、あまり人がいないのかもしれないねと家族で話しています」
 

高齢者が保育園や学校に対して「うるさい」とクレームを入れることがあるという話はよく聞く。自分だって昔は子どもだったのに、どうしてこれほど子どもに厳しい世の中になっているのかが不思議である。
 

「うちの子は結局、友だちの家の近くまで行って練習するようになりました。少し遠いけど、理不尽に怒られることなく練習できるようになったのでよかった。私が子どものころは、狭い路地でもボール遊びをして、しょっちゅう他人の家にボールが入ったりしていたけど、怒られたことはなかった。今回はその方の家でもありませんからね、高齢者が子育てに寛容でなくなったと肌身に染みて感じています」
 

本当に嫌な世の中、とホナミさんは語気荒く言った。のびのび育てられる環境がない中、厚労省が6月上旬に公表した2021年における合計特殊出生率は1.30だった。6年連続の低下である。そして2000年には約119万人だった出生数が、2020年には約84万人となり、さらに22年度中には80万人割れも確実視されているという。


>歯止めがかからない「合計特殊出生率」の低下


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