不動産経済研究所が2023年4月に発表したデータによると、3月に東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で発売された新築マンション1戸当たりの平均価格は1億4360万円。2022年の同月と比べておよそ2.2倍の価格に上昇しています。
平均価格が1億円を超えたのは、統計を取り始めた1973年以来初めてのことで、これからマンションの購入を検討している方々にとっては、平均価格の高騰に驚いたことでしょう。
「億ション」を購入できるのは、世帯年収いくらの人?
分譲マンションの中でも、1戸当たり1億円以上で販売されているマンションは、非常に高価な物件に感じます。実際、「世帯年収いくらの人が『億ション』を購入するの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
今回はファイナンシャルプランナーの筆者が、単身者、夫婦(子どもなし)、夫婦(子ども1人)の3パターンの世帯で、1億円のマンションを購入するときの理想の年収を試算してみました。
ゆとりある住宅ローンの返済を心掛けるには「返済比率20%以下(手取り年収)」が理想
1億円のマンションを購入するとき、ほとんどの人は住宅ローンを利用するのではないでしょうか。住宅ローンを組むときは、借りられるだけ借りればよいと考える人も中にはいるかもしれませんが、長きにわたるローンの返済が負担にならないよう、ゆとりある返済計画を立てることが大切です。
住宅ローンを借りる際は「返済比率」という、年収に占める年間返済額の割合を基に審査が行われます。金融機関の住宅ローン審査を通過するときの返済比率目安は一般的に「返済比率25~35%(額面年収)」といわれています。
額面年収とは、1年間にもらった給与の総支給額のことですが、実際に住宅ローンを支払うときは、各種社会保険料や税金が控除されたあとの手取りが基になります。額面年収を基に住宅ローンの借入をしてしまうと、年収に占める返済比率が高くなりすぎて、返済に追われることになってしまいます。
マンションを購入したら終わりではない
住宅ローンは、数十年にわたり返済が続きます。またマンションには、管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、火災保険など費用もかかります。さらに、マンションが購入できたから、あとは何もいらないわけでなく、旅行もしたいし、趣味も楽しみたい。老後に向けた資産も形成したいというのが本音ではないでしょうか。
住宅ローンで頭がいっぱいという状態に陥ることのないよう、ゆとりのある返済をしましょう。そのためには、金融機関の住宅ローン審査を通過する「返済比率25~35%(額面年収)」よりかなり低めの「返済比率20%(手取り年収)」に設定すると良いでしょう。