年収400万円の人は「犬」や「猫」を飼っても大丈夫?

1人暮らしでペットを飼うときは、まずお金に余裕があることが大事です。年収400万円では、金銭的なハードルをクリアできるのでしょうか? 他にもチェックしておきたい大事なポイントについて解説します。

ペットを飼いたいと考えたとき、最近は犬や猫の保護団体から、譲渡してもらう機会も増えました。その際の費用は、避妊・去勢やワクチンなどの実費と譲渡金です。
 

ペットショップにいる犬や猫に比べると費用が抑えられることが多いので利用する人も増えてきています。ペットとの出会いが多様になれば、「ペットを飼いたい」と思うことも増えるかもしれません。
 

今回は30年猫と暮らし、老猫(高齢猫)の世話について情報発信しているファイナンシャル・プランナー(FP)の筆者が、年収400万円(手取り約26万円)の1人暮らしの人が、ペットを飼っても大丈夫か考えます。

筆者宅の猫。最近少し太った「ゆめじ」

 

犬の一生涯にかかる経費は「約252万円」、猫は「約132万円」

まずは犬や猫を飼うとき、1カ月当たりどのくらいのお金がかかるのか確認してみましょう。一般社団法人ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1カ月当たりにかかる犬/猫の平均的な支出額は次の通りです。
 

【犬1匹当たりの費用】

・1カ月当たりの平均支出額:1万3904円
・一生涯でかかる必要経費:約252万円(犬全体の平均寿命は14.76歳)


【猫1匹当たりの費用】

・1カ月当たりの平均支出額:7286円
・一生涯でかかる必要経費:約132万円(猫全体の平均寿命は15.62歳)


平均支出額には、食費や消耗品費、医療費、ペット保険などが含まれています。
 

飼いはじめのうちは、上記以外に去勢・避妊手術が必要です。また毎年、犬/猫ともに病気予防の混合ワクチン、犬であればフィラリア予防薬・狂犬病の予防接種も必須です。
 

ペットを飼うときは、上記の1カ月当たりの平均支出額以外に、予備費も含めて考えるようにします。おおよそ、毎月の費用は平均1万~1万5000円と考えておきましょう。さらに高齢期に向けて、2000~3000円ずつ積み立てるとすれば、毎月1万5000~1万8000円がペットに必要な費用になります。

最近少し痩せた「まるこ」

 

年収400万円での家計費の内訳を確認

年収400万円を12カ月で割ると、1カ月分の給与支給額は約33万円です。ここから健康保険や厚生年金などの社会保険や所得税が控除されると、手取りは約26万1000円になります。
 

まずは、1人暮らしをしたときの家計の内訳を確認してみましょう。
 

今回は、総務省統計局が実施している2022年の「家計調査(家計収支編)単身世帯・年収300~400万円」の平均値を参考にします。持ち家率が約5割を占めているため、家賃や貯金は、手取り額に対する理想割合で計算します。


【年収400万円での1人暮らし家計費内訳】

・家賃:5万2000~7万8000円(共益費、管理費含む手取りの2~3割)
・貯金:2万6100~5万2000円(手取りの1~2割)
・食費:4万2000円
・水道光熱費:1万3000円
・通信費:8000円
・被服費:6000円
・交際費:8000円
・その他(保険料、雑費など):5万4000円
・合計額:26万1000円
 

年収400万円(手取り26万1000円くらい)の1人暮らしの場合、手取り額の1~2割に当たる2万6100~5万2000円を確実に貯蓄したとしても、使えるお金は20万9000円あります。
 

2022年の「家計調査(家計収支編)単身世帯・住居の所有関係別・民営借家」の約17万8000円と比べると、使えるお金は3万1000円多いです。
 

先述した、ペットに毎月必要な費用の「毎月1万5000~1万8000円」は確保できそうです。

食いしん坊の「ゆかり」

 

ペットを飼うときは、お金と同じくらい気持ちの余裕が大事

年収400万円ぐらいの1人暮らしの場合、経済的な面でペットを飼うことは可能です。しかしペットを飼うときは、お金と同じくらい、気持ちの余裕があるのか確認しておきましょう。次のような状況であれば、ペットを飼うと後悔するかもしれません。


●飼い主さんの仕事が不規則な場合、ペットを飼うことが負担になる

最近はリモートワークでの仕事が増えていますが、中にはシフト制などで不規則だったり、残業が多く、長時間、家を空けたり、という人もいるでしょう。
 

そんな人がペットを飼うと、帰った後、散歩やトイレ掃除、食事、ブラッシング、遊び相手になってあげるなどのお世話が大変に感じることもあります。近くに気軽にサポートを頼める人がいれば大丈夫かもしれません。しかし、そうでないなら「今、ペットを飼っても面倒がらずにお世話できるか?」を自身の心に聞いてください。

「ゆめじ」


●20~30分以内に動物病院があるのが理想

ペットがケガや病気をしたとき、1人暮らしであれば、仕事が終わった後、または休日にペットを病院に連れて行くことになるでしょう。
 

そんな万が一を想定し、20~30分以内の距離に動物病院があるか確認しておきましょう。ペットが若いうちは病院にかかることは少なくても、高齢になってくれば、通院する機会が多くなります。
 

仕事を終えてからの通院は、飼い主さんの体や心に大きな負担になります。この場合も、近くにサポートを頼める人がいれば、問題はありません。そうでないなら、ムリをしない方がよいでしょう。



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