『THE FIRST SLAM DUNK』は、2022年12月3日の公開日から半年近くがたった現在もロングラン上映中。日本だけで興行収入は142億円を突破しており、中国や韓国でも歴史的な超大ヒットを記録しました。
『スラムダンク』だけじゃない、優れたスポコンアニメを知ってほしい
原作の絵がそのまま動いているようなキャラクターの魅力、3DCGで表現された試合の迫力、喪失感を抱えたままスポーツを心のよりどころにした少年の切なく尊い物語など、高評価の理由は枚挙にいとまがありません。そして、その映画『スラムダンク』以外にも、スポーツの世界で根性と努力で突き進んでいく、優れた「スポ根」もののアニメ映画があることを知ってほしいのです。
ここでは2021年12月以降に公開された作品に限定して、一挙に7作紹介します。特に、7つ目は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に次ぐ、親子で見てほしい万人向けの作品として、劇場で見ることを強くおすすめします。
1:『フラ・フラダンス』(社会人フラダンス)
福島県いわき市に実在するレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」を舞台にしたオリジナル作品です。活躍するのは「社会人1年生」の個性豊かで魅力的な女性たち。初ステージでの大失敗から「今までで1番残念な新人たち」とまで言われてしまうも、そこから切磋琢磨(せっさたくま)していく、王道のスポ根もののドラマが描かれています。
実は『すずめの戸締まり』と同様に、物語の背景に震災の悲劇があるのも特徴。後述する『バクテン!!』と同じく、東日本大震災で被災した東北3県を舞台としたアニメ作品のプロジェクトの1つでもあるのです。それでも悲壮感はあまりなく、明るい作風になっています。
現役ダンサーの動きをモーションキャプチャーで撮って3Dで描いたダンスのクオリティは高く、「女性」と「仕事」を応援する現代らしいメッセージも誠実な内容でした。現在はAmazonプライム・ビデオで見放題です。
2:『ブルーサーマル』(航空部)
同名の漫画が原作。普通の大学生活に憧れていた主人公が、とある事故のせいで航空部の雑用係をすることに。やがて空の美しさに魅了され才能を発揮していく過程や、仲間や先輩たちと過ごすかけがえのない時間が描かれています。何より目を引くのは緻密な背景描写で、グライダーが飛び立つ爽快感は抜群。スカイスポーツを何も知らない人にも、きっとその魅力が伝わるでしょう。
タイトルのブルーサーマルとは青空の下で発生する上昇気流のこと。うまく乗ることができればグライダーをより高く押し上げてくれる「つかまえたら幸せになれる風」なのですが、それと相対するように主人公の野心や淡い恋心が「危うさ」にも転換していきます。大切な人の存在に気づいた時に、どうすればいいのか。恋やスポーツに止まらない、人生にまつわる寓話(ぐうわ)としても読み取れます。現在はU-NEXTで見放題です。