才能よりも大切な「聞く力」
「僕は双子で3月生まれ。体格にも恵まれなかったし、アドバンテージよりもディスアドバンテージの方が圧倒的に多かった。才能だけなら僕より上の選手はたくさんいたし、才能だけで勝負していたら、たぶんプロには行き着けなかったと思います。常に今の自分に何かを付け加えていかないと、次のステップに進めない。だからこそ、特に子どもの頃は、自分の意見を主張するよりも、経験のある大人の意見に耳を傾けようとしていましたね」仮に才能が不足していても、“聞く力”があれば、少なくとも今の自分を更新していくことは可能なのだろう。たとえトップアスリートにはなれなくても、1人の人間として成長していくための糧は得られる。
愛情だけは注いできた、それだけは胸を張って言える
最後に、これまでの子育てに点数を付けてもらった。「60点とか70点じゃないですか。自分としては良かれと思ってやっていることも、子どもたちからすれば、もっと違うやり方、違う言葉のチョイスがあったかもしれません。特に長男が生まれたときは、僕も21歳の若造でしたしね。もちろん、40歳を過ぎた今がちゃんとしているかと言われるとまだ分かりませんし、3人の子どもを育てながら、自分も子どもたちに育てられているような気もしています」
それでもと――と、つないだ言葉は確信に満ちていた。
「とにかく、愛情だけは注いできたって、それだけは胸を張って言えます。自分のことはいつも二の次で、子どものために全てをなげうってくれた両親にも、そこだけはきっと負けていないと思いますよ」
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佐藤寿人(さとう・ひさと)
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