ヒナタカの雑食系映画論 第20回

「映画料金2000円の時代」が到来も、100円の値上げは妥当? 懸念される作品の「二極化」と「格差」

TOHOシネマズでの一般料金が2000円になることが大いに話題となりました。わずか100円とはいえ、その値上げは妥当か、はたまた懸念となることは何か、そして安く見る方法など、今必要なことを考えてみます。

TOHOシネマズ 新宿(撮影日時:2019年7月)
画像出典:PIXTA

TOHOシネマズで一般料金が2000円になることが大いに話題となりました。わずか100円とはいえ、その値上げは妥当か、はたまた懸念となることは何か、そして安く見る方法など、今必要なことを考えてみます。
 

一般の鑑賞料金が1900円から2000円に

TOHOシネマズでは、6月1日から全国71劇場で映画鑑賞料金が改定、一般の鑑賞料金が1900円から2000円に変更されます。学生や子ども料金、障がい者料金、12月1日「映画の日」の料金に変更はないものの、そのほかの各種割引料金も100円の値上げに。一連のニュースは大きな話題を呼びました。

TOHOシネマズに続くように、ティ・ジョイも映画料金の値上げを発表。6月19日から、丸の内TOEIとティ・ジョイの20劇場において、一般の鑑賞料金が1900円から2000円になります。ほかの大手シネコンも、この値上げに続くと考えられます。
 

100円の値上げはまだ良心的?

まず、この鑑賞料金の100円の値上げが妥当かどうか、について考えてみましょう。

前回の鑑賞料金の値上げは2019年のこと。TOHOシネマズをはじめとした大手シネコンが一般の鑑賞料金を1800円から1900円に引き上げてから、わずか4年で値上げとなったことを、横暴だと思う人もいるでしょう。

しかしそれ以前では、1980年代初期には1500円未満だった映画観覧料が、1989~1994年頃にかけて1800円に段階的に上がってからは、約25年間も値上げされていなかった事実があります。1994年当時の最低賃金(全国加重平均)は597円で、消費税率もまだ3%。さまざまな物価が今よりも低かったことも鑑みると、そこからずっと値上げをしていなかったこと、かつ今回の値上げ率は良心的と捉えることもできます。
 
総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)」を基に作成
縦軸は料金(円)

なお、TOHOシネマズは値上げの理由について「エネルギー価格の高騰や円安による仕入れコストの上昇、アルバイト人件費を中心とした運営コスト増や各種設備投資における負担増等」と回答しています。2023年の東京都の最低賃金は時間額1072円であり、昔に比べての人件費の高騰、各種の新しい設備などを鑑みても、値上がりは致し方がないと言えるかもしれません。


>次のページ:日本はほかの国に比べて「映画料金が高い」って本当?
 
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