コナンとマリオの映画が超大ヒットした共通の理由は?
今回の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』と『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の超大ヒットの理由は、共通して「長年愛され続ける誰もが知っているコンテンツ」「普段はあまり映画館で映画を見ない人が多数詰めかけた」「ファンが喜ぶものをファンが望む形で出してきていた」こと。近年のコナン映画は総じて「キャラ萌え」にフォーキャスした、ファンが喜ぶ展開を推した内容となっており、今回の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は特に、人気キャラクターの“灰原哀”をフィーチャーして、彼女の内面にもグッと迫る物語になっていたため、「絶対に映画館でいち早く見たい!」と思うファンも多かったことでしょう。
名探偵コナン、そして灰原哀のファン層があまりに広いからこそ、超ロケットスタートを切り、早くから絶賛が多く寄せられ、その熱量がコナンファン以外にも広まり、さらなる動員につながったのではないでしょうか。
実際にTwitterでは「哀ちゃん100億の女」がトレンドに入るなど、祝福の声が多数寄せられています。その根底には、およそ四半世紀の年月をかけてこその、コナンの映画が積み上げてきた“信頼”も確実にあるはずです。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、予告編や本編動画で分かる通り、ゲームのディテールの再現だけでなく、実際の本編ではさらなる愛情たっぷりの小ネタが詰め込まれています。
確実に「ゲームは好きだけど映画はあまり見ない」人にも訴求しており、しかも、見せ場がずっと続く「普段は映画をあまり見ていない人や、小さな子どもでも楽しめる映画」にもなっていて、映像が公開され始める段階からその層にうまくアピールができていたのです。
その『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の初週を上回る興行収入の勢いは、やはり絶賛の口コミがあってのこと。特に、今回は30年以上にわたって人気を誇るマリオの映画化作品で、子どもが見るゲームの解説系YouTubeチャンネルでも数多くの絶賛レビューが投稿されており、さらなる“火付け”になったことが予想されます。
「間違いない内容」にライト層が集まるのは当然
ちなみに、映画館で1年に1回以上映画館で見る人は日本人口の半分に満たない程度で、さらに1年に1〜2回しか映画館にしか足を運ばない人は、その6割程度という調査もあります。逆に言えば、超大ヒット映画は、1年に1〜2回しか映画館で映画を見ないライト層を動員しているということ。ライト層を動員するために重要なのは、やはり「見たいものを見せてくれる」という“信頼”なのかもしれません。わざわざ映画館まで出向き、高い鑑賞料金を払うというのはライト層にとってハードルの高い行為であるからこそ、コナンやマリオという誰もが知るコンテンツに観客が集中するのは当然といえば当然です。
とはいえ、知名度があれば必ず売れるというわけでもありません。『名探偵コナン 黒鉄の魚影』と『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は作品とのしてのクオリティの高さ、公開前から強い訴求力があり、それが面白さが「分かりやすい」、口コミなどで「間違いない」印象にもつながったからこそ、ここまでの大盛り上がりになったのも間違いありません。
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