ボイコット活動の餌食になっている企業は
リポートでは、近年特に顕著になっている中国におけるボイコット運動を考察している。中国が外国企業にとって魅力的な市場なのは間違いないが、外国企業に対する消費者ボイコットは珍しくなくなっており、2008~2021年の間だけを見ても、ざっと90件ほどのボイコット事案が確認できる。ボイコット活動の餌食になったのは、北米やヨーロッパ、日本、韓国の企業が主で、業界を見ると、自動車やアパレルなどが目立つ。
そして被害企業の大半は、習近平国家主席がリーダーとなってから規制強化や中華思想の理解の強化などを行うようになった後の2016年以降に発生している。リポートによれば、この運動には、ナショナリズム、地政学、中国の尊厳に対する冒涜などさまざまな要因が絡み合っているという。
さらにリポートはこう指摘する。「全てのボイコット事例のうち、約3分の1が中国共産党や政府関連組織によって支持されていることが公的な証拠で示されています。また、それ以外のほとんどのケースでも、中国政府が、プロパガンダを使って『愛国的』な行動を奨励し、台湾や香港、新疆ウイグル地区に関する中国の立場に反する外国企業を非難することで、消費者の行動に重要な役割を果たしている」
NBAのチームもターゲットに
その例として、2019年に米NBA(全米バスケットボール協会)のチーム「ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)」に起きた例を紹介している。同チームのゼネラル・マネージャーが、当時、民主化デモが起きていた香港を支持するメッセージをSNSで投稿したことでターゲットにされた。
まず政府系組織である中国バスケットボール協会が、NBAとの連携解消を発表したことをきっかけとして、消費者によるNBAへのボイコットが始まっている。大変大きなニュースになったので、まだご記憶にある人もいるかもしれない。
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