『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は興収100億突破なるか。“推し愛”にあふれた物語&仕掛けに驚き【ネタバレ】

劇場版第26作目となる映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』が2023年4月14日、公開されました。公開1日目にして、シリーズ歴代1位の『ハロウィンの花嫁』を超える勢いの大注目作品の観賞レビューをお届けします。

※以降、作中のネタバレを含みます。未見の人はご注意ください

今回は「恋愛要素」も大きな見どころ。灰原哀の“恋心”が切ない


『黒鉄の魚影』で描かれるのは、灰原哀の淡い恋心。哀といえば、コナンと同じく“見た目は子ども”のキャラクター。実は黒ずくめの組織の一員で、工藤新一(コナンの正体)が飲まされた薬の開発者でありながら、組織を脱出するために薬を飲んで子どもの姿に。現在はコナンたちと同じ小学校に通い、行動を共にしています。

今回の作品で色濃く描かれるのは、哀のコナンに対する思い。物語の終盤、哀は海底で意識を失ったコナンを人工呼吸で助けます。何も知らないコナンを見つめながら「私たち、さっきキスしちゃったのよ」と意識して戸惑うシーンには、思わず切なさが込み上げました。

工藤新一と会える日を一途に待つ毛利蘭を応援したい一方で、哀がコナンに抱く思いを考えると切なくなってしまいます。やはり好きになってしまいますよね……コナンと一緒にいたら。

蘭のことも大切に思う気持ちと、コナンへの思いとの間で、“キスしてしまった”ことを気にする哀。そして、何も知らない蘭に哀がキスをして、「ちゃんと返したわよ、あなたの唇」と、コナンを見つめて言うのです。その律儀さが、かえってコナンへの思いの深さを感じさせる、印象的なシーンでした。蘭と新一、コナンと哀、この2つのかけがえのない関係性は、コナン映画に欠かせない見どころの1つ。
 

全ての“推し愛”を満たす、キャラクターの見せ場はまさに神展開



黒の組織との対決をメインに描いた今作では、ジンをはじめとする黒の組織メンバーはもちろん、さまざまな“推し”を満足させてくれる各主要キャラクターの見せ場が満載でした。

“黒の組織ファン”に注目してもらいたいのは、キールがウォッカに「潜水艦」について聞くシーン。ウォッカの説明が意外にも丁寧で、思いがけず理想の上司像を見てしまったようでした。

そして、いつも冷静なジンが、老若認証システムに対して「クソシステムじゃねぇか!」とキレた場面には妙な親近感。ジンに共感できる場面、筆者にも日々たくさんあります。ネットが重いとか、電子レンジが急に動かないとか……「クソシステムじゃねぇか!」。日常的に使いたくなるせりふに出会えました。

ほかにも、“赤井秀一ファン”必見なのは、ヘリコプターで上空からロケットランチャーを放ち、黒の組織の潜水艦を狙撃するシーン。さらに、謎多きキャラクター・安室透との共演! これは熱かったです。

毛利家のキャラクターの見せ場は、蘭の格闘シーンだけでなく、テレビアニメでおなじみの“眠りの小五郎”の推理シーンも! こんなスケールの大きな事件で見られるとは、まったく期待していなかったので驚きました。

『黒鉄の魚影』で監督を務めたのは、立川譲さん。立川さんは、2023年2月に公開され、瞬く間にヒットを記録したアニメ映画『BLUE GIANT』でも監督を務めています。両作品とも、立川監督のキャラクター愛の深さが表現されていて、感動してしまいました。
 

コナン映画に新しい世界観! 主題歌はスピッツの『美しい鰭』



『黒鉄の魚影』の主題歌は、ロックバンド・スピッツの『美しい鰭(ひれ)』。ボーカル兼ギターの草野マサムネさんがこの作品のために書き下ろした楽曲です。スピッツが大好きな筆者は、喜んだと同時に“コナンとスピッツ”という意外な取り合わせに驚きました。
 

スピッツの世界観が表現された『美しい鰭』を聞くと、物語の結末で安堵(あんど)感に包まれます。感情が揺さぶられるようなアップテンポな楽曲もいいですが、回想にどっぷり浸れるスピッツの曲も、コナン映画には合います。

最後に、思わず「えっ?」と驚いてしまうようなシーンを残して終わった『黒鉄の魚影』。明るくなった劇場内では、しばらくざわつきが起こりました。すでに次回作への期待も最高潮です!

進化と驚きが止まらない『黒鉄の魚影』、気になる人はぜひ劇場でご覧ください!


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