意外と知らないグルメのひみつ 第26回

「鶏もも肉」と「鶏むね肉」ってどう違うの? 意外と知らない鶏肉の部位ごとの魅力&食べ方事典

【調理師免許を持つグルメライターが解説】食肉の中で、日本で1番多く食べられている「鶏肉」。鶏は小さいながらも部位ごとにさまざまな魅力があります。今回は鶏肉の部位ごとの個性に迫ってみましょう!

鶏の翼は「手羽元」「手羽先」「手羽中」3つの部位に分けられる

広げると大きな翼部分は、骨付きのまま手羽元・手羽先・手羽中の3つに分けて販売されます。翼の付け根部分に当たるのは「手羽元」。
 
手羽元

手羽の中では最も肉が多く、柔らかい肉質が特徴。脂肪も少なめです。煮込み料理に使ってもおいしいですね。

翼の先の方、羽のような形をしているのが「手羽先」。
手羽先の唐揚げ

分厚い皮と細い骨があり、唐揚げや煮込み料理などに使われます。脂肪やゼラチン質を多く含んでいるため、煮込み調理などをするとプルプルとした食感も楽しめます。
 
手羽中

手羽先の先端部分をカットしたものが「手羽中」と呼ばれる部位です。複雑な形状をした手羽先とは異なり、手羽中はとてもシンプル。

 
細い骨が真ん中に1本通り、その周りを脂肪多めの肉が覆う形。身離れがいいので、調理しやすく食べやすいのが特徴です。唐揚げや煮物、炒め物など、幅広い料理に向きます。
 

「内臓部位」は、レバー、ハツ、砂肝、ぼんじりなど、希少で個性的

写真手前が「ハツ」、奥が「レバー」

レバーは鶏の肝臓、ハツは心臓部分。両方セットで「キモ」として販売されていることもあります。牛や豚のレバーに比べてクセがなく、しっとり滑らかな食感で食べやすいのが特徴。焼き鳥や煮込み、レバーペーストのほか、炒め物にも向きます。
 
砂肝

焼き鳥でおなじみの砂肝は、砂嚢(さのう)と呼ばれる、鶏の胃の中の筋肉部分。歯がない鶏ならではの部位です。鶏はエサと一緒に砂も食べてしまうことがありますが、この砂嚢で食べたものをすりつぶし、消化の手助けをすることから、この名が付きました。別名「砂ずり」とも呼ばれています。コリコリとした食感で、揚げ物や炒め物にぴったりです。
 
ぼんじり

小さい鶏には、1羽からわずかしか取れない希少部位がたくさんあります。首にある筋肉「せせり」や、腎臓「せぎも」、コリコリ食感の「ひざ軟骨」など。中でも人気部位なのが、尾骨周りにある「ぼんじり」。
 
お尻の肉らしく、高脂肪でジューシーですが、運動量も多いため身の締まりもあります。柔らかさと程よい弾力がクセになる部位です。焼き鳥や唐揚げにすると、より魅力が引き立ちます。
 

丸ごとさばく「鶏肉専門店」なら知らない部位に出会えるかも


ほかにも鶏の気管部分の「さえずり」や、もも肉の一部「ソリレス」など、あまり市場に出回っていない希少部位も多数あります。丸ごと1羽をさばく鶏肉専門店なら、いろいろな部位に出会えるかもしれません。個性豊かな鶏のおいしさを楽しんでみてくださいね。


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