2023年夏の目玉は「日本最北端の旅」
今回発表された新たな企画が「日本最北端の旅」として札幌発着は変わらないものの旭川から宗谷本線に乗って稚内を目指す旅だ。天塩川に沿った車窓、日本離れした牧草地や森林が連続する景観、そして絶海の彼方に聳(そび)える利尻山の眺望。魅力的な宗谷本線を豪華列車で旅するのは何とぜいたくなことであろう。もっとも、旅程を子細にチェックすると、宗谷本線の乗車区間は、2日目が和寒から南稚内まで、3日目が豊富から旭川までとなっている。日本最北端の稚内駅に到着できないのは、鉄道ファン的には残念だが、直流電化区間用の電車であるTHE ROYAL EXPRESSは非電化区間あるいは交流電化区間ばかりの北海道内の路線を自走できず、ディーゼル機関車重連で電源車をつなぎ客車列車として運行するためだ。
それゆえ、ホーム1面・線路1線の最低限の施設しかない現在の稚内駅では、機関車けん引列車がそのまま折り返すことができないのだ。1つ手前の南稚内駅は列車交換ができる設備があり、ここでなら機関車を付け替えて折り返すことができる。そのため南稚内着となったわけである。
付け加えると、北海道内を運行するTHE ROYAL EXPRESSは伊豆へ向かうときの8両編成ではなく、マルチカーなどを外した5両編成となる。これは、白い電源車の容量が客車5両までしか対応できないためという。
本ツアーでは稚内駅には到着できないが、専用バスで最北端の宗谷岬を訪問するので最北端を目指す旅には変わりない。料金は、通常プランよりはやや高く88万円となる予定だ。
車内では稚内市役所および稚内観光協会からはるばるやってきた2人による稚内のアピールや歓迎のスピーチが行われ、THE ROYAL EXPRESSがやってくる日を心待ちにしている様子だった。観光列車によって地域が大いに盛り上がることを期待したい。