AKB48 TEAM 8主演ミュージカル『ジョン マイ ラブ』が業界でも“奇跡的”と注目される理由

AKB48 TEAM 8のメンバーが1年半の長きにわたり、愛媛の「坊っちゃん劇場」でミュージカル『ジョン マイ ラブ』に主演。舞台公演が首都圏や大阪、博多に集中しがちな日本にあって、異例中の異例とも言えるこのロングラン。公演成功の背景にあるものとは?

大盛況!「異例中の異例」ロングラン公演

AKB48 TEAM 8のメンバーが1年半の長きにわたり、愛媛の「坊っちゃん劇場」でミュージカル『ジョン マイ ラブ』に主演。舞台公演が首都圏や大都市に集中しがちな日本にあって、異例中の異例とも言えるこのロングランは連日、小学生から高齢者まで幅広い観客に愛され、業界でも“奇跡的”と注目されています。公演成功の背景にあるものとは?
 

1月26~29日限定で行われている東京・サンシャイン劇場での公演を機に、出演者であるAKB48 TEAM 8メンバーの下尾みうさん、高岡薫さん、川原美咲さんや作・演出の横内謙介さんらの生の声をうかがいました。

(左から)AKB48 TEAM 8の川原美咲さん、高岡薫さん、下尾みうさん

『ジョン マイ ラブ』は、剣術道場の娘である勝気なヒロイン・鉄が、アメリカ帰りでリベラルなジョン万次郎に惹かれて結婚、“夢”を共有してゆく物語。会見に先駆けて行われたゲネプロでは、鉄役を下尾さん、その親友・菊野役を高岡さんが、運命に翻弄(ほんろう)されながらも自分の生き方を貫く女性たちを体当たりで演じ、終盤には脚本の妙も相まって大きな感動が押し寄せました。またフィナーレでは観客がペンライトを振る趣向もあり、ライブさながらの場内の一体感も楽しめる舞台です。

『ジョン マイ ラブ』東京公演公開ゲネプロより。撮影:松島まり乃

そもそもAKB48に出演オファーを提案したのは、作・演出の横内さん。今回、劇場からジョン万次郎に関する新作を依頼され、新たな切り口として万次郎の妻・鉄の視点で脚本を執筆したのだそう。
 

「キャスティングではいろいろな選択肢があったけれど、鉄は15歳で万次郎と見合いして間もなく結婚し、ヴィヴィッドに新しいものに突き動かされていった女性なので、ある意味、本当に初々しい人に演じてほしいと思いました。

『ジョン マイ ラブ』東京公演公開ゲネプロより。撮影:松島まり乃

僕は数年前にAKB48 TEAM 8のために作・演出を手掛けたことがあり、その際に彼女たちの、競争心も意欲も漲る姿勢に感じ入りまして。彼女たちに演劇の技術を伝えたらきっと財産になるなと思い、実際に(演出して)手応えを感じたので、今回推薦したのです」

『ジョン マイ ラブ』東京公演公開ゲネプロより。撮影:松島まり乃

ファンの皆さまに「会いに行く」がTEAM 8のコンセプト

TEAM 8はAKB48グループの中でも、メンバーの方からファンの皆さまに“会いに行く”のが特色のチーム。坊っちゃん劇場で長期間(一期あたり4~5カ月を、数名で交互出演)、演劇界の第一線で活躍する横内謙介さんや深沢桂子さん(音楽監督・作曲家)ら一流の座組の中で演技を磨くことは、チームのコンセプトにも合い、彼女たち自身にとっても大きな経験となっているようです。
 
下尾みう「私は(公演の)五期(2023年1月~)からの出演だったので、既に作品が完成されたところに入っていくことに緊張がありました。自分がしっかりしないと、と構えていましたが、(実際のカンパニーは)スタッフさん含め皆さんの愛にあふれた空間で、“頼っていいんだ”と安心できましたし、それによって自分も強くなれたかな、と思います。(苦手意識があった)歌についても、歌うことの楽しさをすごく感じられるようになりました。公演ではこの作品の“愛”をしっかり表現していきたいです」
 

高岡薫「私は二期(2021年12月~)から80回ほど出演してきて、歌がすごく鍛えられたと思っています。鉄は(歌う)ナンバーが多いのですが、苦手な音域もちょっとずつこなせるようになってきたかな。公演を通じてスタッフさんや、(遠方から)劇場に来て下さるファンの方々の愛も感じ、そういう(精神的な)面でも成長できたのではないかと思います。東京公演では(回替わりで)菊野役も演じるチャンスをいただいたので、鉄ちゃんの“ラブ”も菊野の“ラブ”も届けられるよう、頑張りたいです」
 

川原美咲「この作品は本当に愛のある作品なので、三期(2022年4 月~)で鉄を演じて、五期でまた帰って来られたのがうれしいです。私も東京公演では菊野を演じるチャンスをいただいたので、今後の糧にできるようチャレンジしていきたいです。三期では、私はもともと感情を顔に出すのが得意でなかったのが、徐々に表現できるようになってきたと思うので、今回はもっとそこをレベルアップしていきたいですし、来ていただいた皆さまがそれぞれに何かを感じて帰っていただけるよう、3月まで頑張っていきたいです」

坊っちゃん劇場は2006年のこけら落とし以来、じわじわと愛媛におけるミュージカル・ファン層拡大に貢献。今や県内各地に市民ミュージカルが生まれているほどですが、本作ではAKB48 TEAM 8のファンも、温泉を楽しみがてら全国各地から数多く来場し、従来の劇場ファンと和やかに交流する姿もしばしば見受けられるそう。劇場としても「新たなエンターテインメントの形が生まれてきている」と手応えを感じ、今後もAKB48グループとの縁が続いていくことを願っているそうです(坊っちゃん劇場制作チーフ・村上慎太郎さん)。

>次ページ:下尾さん&高岡さん&川原さんの投稿を見る

劇場にとっても、AKB48 TEAM 8のメンバー自身にとっても、そして観客にとってもwin-winの成果を生んでいる今回の『ジョン マイ ラブ』。29日の東京公演千穐楽後は再び本拠地の坊っちゃん劇場に戻り、3月に大千穐楽を迎える予定です。

<公演情報>
『ジョン マイ ラブ』1月26~29日=東京・サンシャイン劇場、2月2日~3月12日=愛媛県東温市・坊っちゃん劇場 1月28日、29日公演はライブ配信も予定

【公式】坊っちゃん劇場|最新作品のご紹介(botchan.co.jp)

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