「半導体」とは? 大きく4種類に分けられる
半導体を語る際にまず大事なことは、その種類だ。半導体には、大きく分けると4つの種類がある。まずは高度な演習を行う「ロジック半導体」。そして、データの記憶を行う「メモリ半導体」、電気信号を制御する「アナログ半導体」、そして電力の制御を行う「パワー半導体」だ。
そして高い技術力で微細化が進むロジック半導体などを製造するのには、3つの業態がある。まずは、半導体の設計から製造まで全てを行う「垂直統合型(IDM)」だ。そして、半導体の設計のみを行って製造そのものは行わない「ファブレス」と呼ばれる業態がある。逆に、設計は行わずに受託製造を専門にしているのは「ファウンドリ」と呼ばれる。
2021年、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)を熊本県に誘致することになったとして日本で大きく報じられたが、このTSMCは世界最大のファウンドリ企業だ。また、世界でトップクラスの半導体シェアを誇るのはアメリカのインテルで、設計も製造も両方を行っている。
世界における日本の半導体メーカー
半導体メーカーのシェアランキングを見ると、日本企業を目にすることはない。とはいえ、実は日本の半導体関連企業は、半導体製造には欠かせない大きな役割を担っている。例えば、半導体の基板となる素材のシリコンウエハーは、日本企業2社で世界シェアの約6割を占めており、その高い品質が半導体製造を支えている。
また半導体を製造するのに必要な製造装置では、日本企業のシェアが3割ほどになっている。ちなみに、非常に高い技術力が求められる半導体製造装置では、アメリカとオランダ、そして日本の企業が世界シェアのほとんどを占めている。
そんな半導体は、今や世界の地政学的にも重要な産業となっている。台湾のTSMCはファウンドリ企業として世界でも重要な存在になっており、同社なしには、iPhoneなどの先端デジタル機器は製造できないほどだ。
しかし、世界情勢の専門家らの間では現在、中国が台湾に侵攻するのではないかとの懸念が出ており、もし台湾有事が起きてTSMCなど台湾の半導体企業の動きが停止するようなことがあれば、世界は大混乱に陥ることになる。
米国半導体工業会(SIA)は、「TSMCなど台湾メーカーが世界の最先端半導体の9割」に関わっており、台湾有事で「台湾の半導体産業が1年間停止すると世界で4900億ドルの損失になる」と指摘している。
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