マスク氏による買収でTwitterはどう変わる?
今回の買収を受けて、マスク氏は今後Twitterをどのように改革していくのでしょうか。これについては同氏のメディアおよびSNS上の発言から推測していきます。
「企業や政府系のユーザーに対して少額の課金を導入する可能性がある」
Twitterに限らず、SNSは広告収入を基本としてきましたが、マスク氏はTwitterにサブスクリプションを導入することを示唆しています。Twitterを活用している企業では数十万、数百万人のフォロワーを獲得しているケースがあります。仮にTwitterが有料化しても、こうした企業はTwitterを利用し続ける可能性は高いと言えます。
「Twitterの認証済みバッジはでたらめ」
Twitterにはアカウントが本物であることを示す青色の「認証済みバッジ」がありますが、マスク氏はこれが現在正しく機能していないとTwitter上で指摘しました。そしてこの機能をすでに実装されている有料サブスクリプションサービス「Twitter Blue」(ツイート編集などのプレミアム機能の他、一部出版社の記事を広告なしで読むことが可能)に含め、月額8ドルにするとしています。
「(トランプ氏のTwitterアカウント凍結について)間違いだったと思う」
2021年1月に起きたアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したとして、トランプ前大統領のTwitterアカウントは永久凍結されました。これに対し、マスク氏は2022年5月に行われたイギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズのイベントで上記の発言をしています。Twitterに限らず、現在SNSは扇動的な発言や、ハラスメントなどの不快なコンテンツの削除を試みています。
マスク氏はこうした流れを言論統制として批判しており、Twitterを「あらゆる人が自由に発言できる場にしたい」と語っています。また、同氏はツイートのランク付けに使用されるアルゴリズムをオープンソース化することにより、「Twitterでは特定の偏った意見が優遇されているのではないか」という疑念を払拭できると考えています。
しかし、一部の専門家からは、マスク氏によってTwitterがどんな発言も許される無秩序な場になるのでは危惧されています。
以上のことから、マスク氏には、Twitterにサブスクリプションサービスを充実させ、広告収入への依存から脱却することで企業価値を高めたい考えがあることが推測できます。さらに、SNS側からのユーザー投稿の削除や世論の誘導といった介入行為を否定し、真に自由な言論をTwitter上で実現する狙いがあると考えられます。
福田 正人 プロフィール
ソーシャルメディアやアプリを活用したインターネットサービスについて記事を執筆。海外ニュースの翻訳も行う。
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