先日、日本アムウェイが初めて行政処分を受けたことが大きな話題になった。「なぜこのタイミングで?」という疑問の声が相次いで、旧統一教会問題と結びつける声まで出てきた。
「霊感商法」というものに対して、政府がようやく重い腰を上げたことで、同じくマインドコントロールを悪用した勧誘や脱会阻止などが問題になっている「マルチ商法」もロックオンされたというのだ。
一部の政治ジャーナリストは、アムウェイ創業者一族が、米共和党の有力支持者である事実から、「岸田政権の米共和党へのけん制」という見方もしている。旧統一教会が自民党と蜜月だったのは、この教団が米共和党の有力支持団体だったということも無関係ではない。
さらに週刊誌などは、旧統一教会やアムウェイに対する厳しい姿勢から「河野無双」などとネットで称賛されている、河野太郎消費者庁長官の「ポスト岸田を見据えたスタンドプレイ」なんて意地悪な見方もしている。
このようにさまざまな憶測が流れる今回の「アムウェイ・ショック」だが、筆者はやはり根本のところでは、行政がよくやる「見せしめ」の意味合いが強いのではないかと思っている。つまり、最大手企業をつるし上げることによって、マルチ商法やそれに類似したビジネスをした人々に、「お前らもあんまり調子乗っていると、アムウェイの二の舞だぞ」と警告を出したのではないか。
なぜそう思うのかというと、実はコロナ禍に入ってから、マルチ商法の世界はかなり「場」が荒れてきているからだ。
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