ロシアスパイに“やられっぱなし”の日本人
これまで日本人が狙われたケースには、相手がロシア通商代表部の職員だった事件は多い。例えば、2005年に東芝の子会社である「東芝ディスクリートテクノロジー(現:東芝デバイスソリューション)」の関係者が、現金の見返りに情報をロシア人職員に渡していたとして逮捕されている。
このケースのやり口は、冒頭のような「道案内」ではない。千葉県の幕張で開催された電気・電子機器関連の展示会で、東芝の子会社の関係者はロシアスパイと出会っている。展示会で人と知り合うのも、ロシアスパイの典型的な手口だ。ただこのスパイは、イタリア人コンサルタントを装っていた。その後、居酒屋などで何度も食事をしながら、現金と引き換えに同社が扱う半導体関連の情報を提供していた。
この自称「イタリア人コンサルタント」は、実はロシア通商代表部に所属しているスパイだった。結果、日本人は逮捕されたが、ロシアスパイは通商代表部の外交官なので外交特権があるために逮捕されることはなかった。これもお決まりだが、日本の当局はスパイが帰国後に書類送検などをする以外に何もできない。
ロシアの場合、スパイ行為がバレて1人が帰国しても、懲りずにその穴埋めのスパイを再び送り込んでくるのである。日本の公安当局などは、その実態がはっきりと分かっていながら、何もできないのが現状だ。要は、やられっぱなしなのである。
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