旅行や家族のイベント、急病などの際に取得することが多い有給休暇。省略して「ゆうきゅう」とも言いますが、漢字で表記する場合「有休」「有給」どちらがよいのか迷うことがあるかもしれません。
今回は「有休」と「有給」の違いや、どちらの表記が正しいのか解説していきます。
<目次>・「有休」と「有給」はどっちが正しい?
・「有休」と「有給」の意味の違いは?
・「有給休暇」とは?
・ビジネスシーンで使うなら「有休」?
・最近では「有休」を使うことが一般的?
・「有休」と「有給」の使い方・例文
・「有休」と「有給」どっち派? 【独自アンケート】
・ビジネスで使うなら「有給休暇」が無難
「有休」と「有給」はどっちが正しい?
「有休」と「有給」はいずれも「有給休暇」の略語として辞書に記載されています。どちらを使っても間違いではありません。
「有休」は「有給休暇」のうち「有休・休暇」のそれぞれ二文字目を省略したもの、「有給」は「有給休暇」のうち「休暇」の部分を省略したものです。
省略の仕方が違うだけで、どちらも「有給休暇」の意味で使われる言葉です。
「有休」と「有給」の意味の違いは?
どちらも「有給休暇」の略語として使われる「有休」と「有給」ですが、言葉が持つ意味には少し違いがあります。
それぞれ辞書でひくと、「有休」には「有給休暇」の略語としての記載のみなのに対し、「有給」にはもともと「給料が支払われること」の意味もあることが分かります。
この意味での「有給」に「休暇」を組み合わせてできたのが、「休んだ際にも給料が支払われる休暇」という意味の「有給休暇」という複合語です。
「有休」と「有給」は、「有給休暇」の略語であるという点では同じですが、他の意味もあるかどうかで違いがあります。
「有給休暇」とは?
「有給休暇」は、法律で定められた、給料が支払われる休暇日のことで、正式名称は「年次有給休暇」。「有休」と「有給」の他に、「年休」と略される場合もあります。
正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど雇用形態に関係なく、以下の要件を満たせば有給休暇はもらえます。
・入社から6カ月以上経っている
・直近の出勤率が8割以上ある
有給休暇の時効は2年ですので、計画的に消化していくのが良いでしょう。
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ビジネスシーンで使うなら「有休」?
「有給休暇」の意味しかない「有休」と違い、「有給」には意味が複数あることから、使い方によっては分かりにくくなる可能性があります。
例えば、「そのイベントには有給で参加します。」という場合、
- 有給休暇を取得してイベントに参加する。
- イベントに参加することで給料が支払われる。
と2通りの解釈ができます。
実際には、前後の文脈などを考えれば、どちらの意味で使用されているか分かるかもしれませんが、意味の混乱を避けるという点では「有休」を使う方が親切と言えるでしょう。
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最近では「有休」を使うことが一般的?
小学館が出版する国語辞典「大辞泉」を比較すると、「有休」「有給」の扱い方が変わってきていることが分かります。
まずは2012年に発行された、「大辞泉 第二版」です。
有休:(記載なし)
有給:①給料の支給があること。
②「有給休暇」の略。
一方、最新の言葉も取り入れながら更新が続けられているウェブ上の辞書「デジタル大辞泉」では以下のようになっています。
有休:「有給休暇」の略。有給。
有給:給料の支給があること。
以前は、「有給休暇」の略語としての意味も含めて「有給」という単語のみの収録でしたが、現在では「有休」が追加され、さらに「有給休暇」の略語としての「有給」は「有休」の言い換えとしての記載になっていることが分かります。
これはあくまで一例ですが、最近では「有休」の方が浸透しつつあるのかもしれません。
「有休」と「有給」の使い方・例文
「有給休暇」の略語として「有休」や「有給」を使う場合、この二つに意味の違いはなく、同じ様に使うことができます。
(例文)
- 家族旅行のために(有休・有給)を取得するつもりです。
- (有休・有給)の申請は1カ月前までにお願いします。
- (有休・有給)がたまっているのでまとめて休みを取ろうと思う。
一方で、「給料が支払われる」という意味では「有給」しか使えませんので、ご注意ください。
「有休」と「有給」どっち派? 【独自アンケート】
All About ニュース編集部では、「有給休暇の略し方」についてアンケートを実施しました
その結果、「有休」は54.8%、「有給」は44.4%となりました。
「有休」派の意見
「年次休暇を年休とするよう合わせて、有休と表示するのが正しいです」(50代女性/神奈川県)
「育児休暇も育休で休みという字を使うため」(30代女性/愛知県)
「休みを取る方を重視して考えているので有休にしています」(40代男性/大阪府)
「有給」派の意見
「休みだけど、お金が発生するということなのでこちらを選びました」(40代女性/山梨県)
「無給ではないと言う意味を強調する為です」(50代男性/東京都)
「どちらもありだとは思うが、有給のほうが見慣れているから」(30代男性/宮城県)
【調査概要】
調査期間:2023年10月20~23日
調査方法:インターネット調査
回答者属性:10~70代の500人
ビジネスで使うなら「有給休暇」が無難
「有休」や「有給」といった表記はどちらも間違いではないことはお分かりいただけたかと思います。ただ、これらはあくまで慣用的に使われている表現で、正式には「有給休暇」であることには留意した方がよいでしょう。
ビジネスなど改まった場面で表記する必要があるときは、「有休」や「有給」と省略せず、「有給休暇」とする方がより丁寧です。
また、会社の就業規則などに呼称が定められている場合は、規定に則った表記を用いるのが間違いないでしょう。