「寅年」の冬に共通点?寒さ厳しく大雪も…過去の寅年はどうだった?【気象予報士が解説】

2022年の干支は寅(とら)。過去の寅年を振り返ると、冬は例年以上の厳しい寒さになり、東京都心でも大雪となった年が多くありました。夏の暑さや台風、大雨などの水害に関しても、特徴があるのでしょうか。寅年の天気について気象予報士が解説します。

寅年の「夏」は冷夏? 2010年は過去最強の猛暑に

では、寅年の夏の暑さには特徴があるのでしょうか。過去5回の寅年を振り返ると、東日本では平年より気温の低い年が4回もありました。 
1986年には春からエルニーニョ現象が始まり、梅雨前線の活動が活発で雨が多く、続く1998年も冷夏となり、6月の東京の日照時間は平年の半分ほどの73時間しかなく、著しい日照不足になりました。
 
ところが、2010年の夏は記録的な大猛暑となったのです。東京都心では、最高気温が35℃以上の「猛暑日」の数が観測史上最多の13日にのぼり、熱中症により亡くなった人の数は全国で1000人を超えるなど猛暑による深刻な被害が出ました。

暑さによりエアコンなどの光熱費の支出が増大したほか、野菜の価格が高騰するなど家計への負担も大きくなりました。また、魚介類の不漁が起こり、山で餌不足となった熊や猿が人里に多く出没するなど影響は多方面に渡り、京都・清水寺で発表される「今年の漢字」には「暑」という字が選ばれました。
 

寅年の「台風」は? 発生数に大きな差、記録的な長寿台風も

過去の寅年に発生した台風の数は、年によって大きな差がありました。台風の発生数の平年値は25.1個ですが、2010年は14個にとどまり、1951年以降では過去最も少なくなりました。1998年も16個しか発生せず、平年を大きく下回りました。しかし、1986年には29個、1974年は32個、1962年は30個など平年よりも多くなりました。

1986年に発生した台風14号は発生してから消滅するまでの期間が、19日と6時間(期間のうち一時熱帯低気圧も含む)に及び、歴代1位の「長寿台風」となったのです。
 

2022年の「寅年」幕開けは西日本で大雪に警戒

気象庁が12月24日に発表した向こう3カ月の予報によると、北日本では寒気の影響を受けにくく、1~3月の気温は平年より高くなりそうです。一方で、西日本や沖縄・奄美では寒気の影響を受けやすく、平年より寒くなる見込みです。東日本では、気温は平年並みか低い予想です。
1~3月の3か月予報(平均気温)
1~3月の3カ月予報(平均気温)
今シーズンは西回りで強い寒気が流れ込みやすい傾向が続いていますが、新年も西日本は厳しい寒さとなりやすく、雪の降る量も西日本の日本海側で多く、東・北日本の日本海側では平年並みか多い見通しです。 
1~3月の3か月予報(降雪量)
1~3月の3カ月予報(降雪量)
特に、短い時間に大雪となる場合には車の立ち往生など深刻な被害が出るおそれがあります。雪道を運転する場合は、必ず冬用タイヤやチェーンを装着し、防寒具やスコップ、食料などの非常用品を車内に備えるなど事前にできる対策を万全にしておきましょう

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