ヒナタカの雑食系映画論 第244回

2026年秋に絶対に見てほしいアニメ映画4選! “有名だから”ではなく、“知らないからこそ必見”の理由

2026年秋に絶対に見てほしいアニメ映画4選を紹介しましょう。特に絶賛の嵐となっている1つ目は、配信を待つことなく映画館で「体感」してほしい理由があるのです。(画像出典: (C) NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS)

3:『どこよりも遠い場所にいる君へ』(10月9日公開)

2017年に刊行され、TikTokでも話題となった小説を原作とした作品です。豊かな自然に囲まれた離島で暮らす高校生の月ヶ瀬和希が、1974年から来たという少女・秋鹿七緒と出会い、少しずつ心の距離を近づけていく青春物語がつむがれています。

「タイムスリップ」が物語の発端にありながらも、ファンタジーやSF要素は最小限です。そして、とにかく目につく魅力は、キャラクターデザイン・総作画監督を『超かぐや姫!』のへちまが担当しているおかげもあり、ヒロインの七緒がめちゃくちゃかわいいことでしょう。 七緒は初めこそ心を閉ざしているようで、次第に素直で快活な性格だとわかっていく様が、こちらも『超かぐや姫!』の声優・永瀬アンナの演技力もあってダイレクトに伝わってきます。

主人公の和希を演じる⽯橋陽彩も『リメンバー・ミー』の時とは異なる内向的な少年を好演していますし、玉木宏が声を担当したぶっきらぼうな青年・⾼津の「激メロ」さにやられる方も多いことでしょう。
派手さはなく、極めて堅実に種々の要素を積み重ねていく作品であるので、煌びやかな見せ場のある『超かぐや姫!』とは対照的な内容とも言えるでしょう。

しかし、主人公の過去にまつわる苦悩は、この語り口でこそ描けるものだと思えましたし、同じような悩みや恐れを抱えている中高生にこそ届いてほしいと思えました。
『縁の手紙』と同様に巧みに伏線が張られた作品で、オープニングの映像にもヒントが隠されていますし、「タイトル回収」も鮮やかでした。かなりネタバレ注意な作品でもあるので、早めに鑑賞することをおすすめします。

4:『GROTESQQQUE-グロテスク-』(11月6日公開)

アニメ『アイドルマスター』や『ダーリン・イン・ザ・フランキス』で知られ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』では総作画監督を務めた錦織敦史監督が果敢に挑んだ、3つのエピソードで構成されたオムニバス作品です。公式に打ち出された触れ込みから、その「異質さ」は伝わるでしょう。

錦織敦史が、「好き」なものを「好きなだけ」詰め込んだ完全オリジナル・アニメーション映画。『エリィアンズ』『夜露死駆★少女』『ノクターン~このグロテスクな夜に~』
歪で、不揃いで、どこまでも美しい3つのエピソードがキメラのように溶けあい、心揺さぶるオリジナル音楽とともに瑞々しく沸き立つ。
ポップでエッジィな映像と音が重なり、世界が脈打つ。異星人、ギャル、ヴァンパイア。錦織敦史が描く“グロテスク”な少女たちの物語が、いま動き出す―――。

まさにこの通りで、本作では「作家の“好き”を詰め込んで」います。それでいて「観客を置き去りにしないエンタメ性」も担保していて、筆者個人としては、「心のどこかで見たいと思っていたものを見られた」ために、3本ともでポロポロと涙がこぼれる感動があったのです。

『エリィアンズ』は宇宙人の少女・エリーが「友だち」探しに奔走するという物語で、『スター☆トゥインクルプリキュア』を思わせるかわいいキャラとの交流、さらには劇場版 『クレヨンしんちゃん』のようなアクションを目いっぱい楽しめます。
『夜露死駆★少女』は、バーチャル空間でのゲームの勝者を巡って文字通りのバトルロイヤルが展開する作品で、強烈なキャラや過激なアクションの連続に頭がクラクラしてくるほどの「密度」があります。対して主人公の不登校の少女ステラは控えめな存在に思えるからこそ、彼女が抱えた「秘密」も興味を引くようになっています。
『ノクターン~このグロテスクな夜に~』の舞台は人類が滅びた後の世界。ワゴン車で旅を続けるのは、純血のヴァンパイア・アヤメと、彼女に吸血され“感染”することで生き延びた3人の少女。退廃的な世界観におけるロードムービーであり、PG12指定納得の流血描写も作品に必要なものと思えました。

それぞれが絵柄もテイストも語り口もはっきりと異なりますが、一方で「少女たちが居場所を探している」ような共通点も見つけられるでしょう。総勢35名のアーティストによる音楽も豪華かつ盛り上がりに多大な貢献をしており、その姿勢からも大きな挑戦であることがわかるでしょう。
とにかく、上記の『我々は宇宙人』『縁(えん)の手紙』『どこよりも遠い場所にいる君へ』『GROTESQQQUE-グロテスク-』の4作品は、いずれもオリジナル、または今の日本では原作が決して有名ではないのですが、作り手の「やりたいこと」をストレートに打ち出しており、しかも万人向けの面白さを備えた作品でもあるのです。

内容を知らない人こそ、それこそネタバレ厳禁の予想外の展開や、作品の独自性をも楽しめると言えます。だからこそ、今までタイトルを知らなかった多くの人に届いてほしいと、心から願っています。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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