(質問)
10月から下半期。同期がどんどん昇進していって自分はまだ平のまま……。焦りばかりが大きくなります。
(回答)
同期との差に焦りを感じたときは、その正体を「昇進したいのか」「差がついたことがつらいのか」で切り分けてみましょう。昇進のタイミングは人それぞれで、周囲との比較よりも自分の準備や役割を見つめ直す視点が欠かせません。あわせて「社内評価」と「市場価値」という2つのものさしを持っておくと、この先の判断もしやすくなります。
詳しくは以下で解説します。
「昇進したい」のか、「差がついたことがつらい」のか
同期の昇進に焦りを感じたときは、まずその感情の中身を切り分けてみましょう。「昇進してチャレンジしたいことがある」「早く役割を広げたい」という気持ちが根っこにあるなら、次に見るべきは、昇進のために自分に何が不足しているかです。上長に自分の気持ちを伝え、期待とのすり合わせをしておくと、次の一手が見えやすくなります。一方で、特にやりたいことがあるわけではなく、単純に「同期と差がついたこと」自体に焦っているケースも珍しくありません。この場合、必要なのは昇進そのものではなく、比較から距離を置いて自分の状況を捉え直すことです。
昇進のタイミングは人それぞれ。焦らず自分の「役割」を問い直す
昇進のタイミングは、1人ひとり異なります。周囲より早いか遅いかよりも、自分自身の準備が整っているかどうかの方が、本来重視すべき視点です。本人の準備が整わないうちに昇進が先行してしまい、対応しきれずに自信を失い、退職に至ってしまうケースは実際にあります。反対に、先に昇進した同期より、後から昇進した人の方が、その後のステップアップは早かったという例も少なくありません。昇進は評価の側面を持ちますが、同時に「役割」の違いでもあります。人と比べるのではなく「自分は今、そしてこれからどうありたいか」を改めて自分に問い直してみてください。
「社内評価」と「市場価値」は別物。客観的なものさしを持つ
自分の内側にある焦りを見つめたら、次は視点を社外にも広げてみましょう。ここで押さえておきたいのが、「社内評価」と「市場価値」は必ずしも一致しないという点です。社内評価は、自社の文化や社内特有の評価基準に強く左右されます。一方、市場価値は役職ではなく、他社でも再現できるスキルの汎用(はんよう)性や実績で測られるものです。自分の市場価値を客観的に把握する方法としては、次のようなものがあります。・転職サイトやスカウトサービスに登録し、自分の経歴に対してどのような企業からどのくらいの年収帯でスカウトが届くかを確認する
・興味のある職種の求人票を見て、「必須要件」としてどのようなスキルや経験が求められているかをチェックする
・転職イベントに足を運び、人事担当者や社員の話から、どのようなスキルへのニーズがあるかを聞いてみる
社内の評価だけに頼らず、こうした社外のものさしを持っておくことで、自分の現在地をより客観的に把握できます。
【事例】昇進の意思がないと思われていた……!?
ここで、同期の昇進をきっかけに自分の働き方を見直した、ある女性の例を紹介します。彼女は入社以来ずっと同じチームで実務を担当し、周囲からの信頼も厚い存在でした。ところが同期が次々とマネジメント職に就いていく中、自分だけが取り残されているように感じ、焦りから転職を考え始めます。
しかし、上長に率直に相談したところ、昇進の対象から外れていた理由は「本人が現状維持を望んでいると思われていたから」という、単純なコミュニケーション不足によるものでした。彼女自身も、マネジメントに興味がないわけではなく、機会がないと思い込んで声を上げていなかっただけだったのです。
その後、彼女は小さなプロジェクトのリーダー役に手を挙げ、半年後には正式に昇進を打診されました。焦りの正体を自分の中でも会社に対しても言語化したことが、状況を動かすきっかけになった例だといえます。
今の場所で機会をつくるか、環境を変えるか
焦りの正体や自分の市場価値を確認したうえで、次に考えたいのが「今の場所で機会をつくるか」「環境を変えるか」という選択です。今の会社に評価の仕組みや成長機会がまだ十分にあると感じられるなら、小さな役割から手を挙げてみる、上長に定期的に希望を伝えておくといった行動から始めてみるのも1つの方法です。実績や希望が可視化されていないだけで、評価のタイミングを逃しているケースは意外と多いものです。
一方で、評価の基準がそもそも曖昧だったり、昇進の機会が特定の層に偏っていて動かしようがないと感じる場合は、環境を変えることも視野に入ってきます。その場合も、焦りに任せて動くのではなく、これまで整理してきた「自分がどうありたいか」「市場から見た自分の価値」を踏まえたうえで、次のキャリアを検討していくことをおすすめします。
同期の昇進に焦る気持ちは、それだけ自分の仕事に向き合ってきた証しでもあります。人との比較にとらわれず、今の場所で機会をつくるにせよ、環境を変えるにせよ、自分自身のキャリアの軸を見極めていってください。
この記事の執筆者:
三ツ橋 りさ
『type』編集長
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Woman type』の編集を経て、転職サイト『女の転職type(旧・女の転職@type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。13年04月~15年12月まで『女の転職type(旧・女の転職@type)』の編集長に就任。産育休を経て16年11月より転職サイト『type(旧・@type)』の編集長として復職。19年10月より2度目の産育休を取得し、21年5月に復職。21年6月からtype編集長に就任し現在に至る。 type■https://type.jp/ 女の転職type■https://woman-type.jp/
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