弱みや愚痴は見せるべきではない——。そう考えるビジネスパーソンは多いでしょう。しかし、もし“弱み“こそが信頼を得るための強力なツールになるとしたらどうでしょうか。
本記事では、TBS系ドラマ『VIVANT』の公安監修を務めた勝丸円覚氏の著書『スパイに学ぶ「あざとい」会話術』(講談社)より一部を抜粋し、相手の本音を引き出す「自己開示」と「承認」の心理テクニックを紹介します。
商談やマネジメント、チームづくりに応用できる“人が動くコミュニケーション”の本質とは?
弱みは“隙”でなく“信用を生むスイッチ”
会話の心理テクニックの1つに、自分の弱みや愚痴を先に話すことで、相手の本音や秘密を引き出す方法がある。「自己開示による共感の促進」などといわれる。
よくあるのは、上司の愚痴を言いあうことだ。「うちのトップが馬鹿で~」などと自分の職場の愚痴を先に言うことで、相手も職場や組織の情報を話しやすくなる。
このとき、「指示が曖昧でこんなことがあった」とか「あんなことがあったのに責任を取らない」など、より具体的な例があると相手ものりやすくなる。
勝丸:もうやってられないです。上から「臨機応変に動け」って言われたけど、具体的な指示はゼロだ。机の上だけの連中に何がわかる。
協力者:(苦笑しながら)うちの部長も同じです。昨日なんて、「君の判断に任せる」って言ったくせに、報告したら「なぜ独断で動いた」って。どっちだよって話。
勝丸:失敗したら部下の責任、成功したら「私の方針が正しかった」って。あいつら、責任回避のスキルだけは一流だ。
協力者:(共感して)本当にそのとおりですよ!
失敗談も効果的
会話では相手の話を聞きっぱなしにせず、時折、自分の話を差しはさむのだが、特に失敗談は有効で、相手に安心感を与える。自分の失敗談をカバーストーリーとして用意しておくとよいだろう。
協力者との緊張する場面で、自分の失敗談を振ったことがあった。
勝丸:(微笑しながら)そういえば、先週の飲み会の後、酔ったまま事務所に戻ってね。コートの端を書類と一緒にシュレッダーに突っ込んでしまったよ。
協力者:(一瞬沈黙してから)……コートを? マジか?
勝丸:(うなずきながら)ガッガッガッって音がしても、「最近のシュレッダーは変な音がするな」と思っていたら、袖がぼろ切れみたいになっていたよ。
協力者:(吹き出して)ハハハ……。深刻な話の途中にそれかよ。
シリアスな場面がなごみ、スムーズに会話が進んだ。このような会話は、信頼関係の構築や心理的な緩和にもつながる。
◆会話のポイント
・自己開示による共感の促進が効果的。
・失敗談も相手の共感を得やすい。



