日本のトップ俳優が次々と韓国作品に出演、一体なぜ? 背景にある韓国エンタメ業界の「新戦略」とは

ここ最近、日本のトップ俳優たちが韓国作品に参加する流れが目立ってきました。一体なぜなのでしょうか。そこには、確かな実力を持つ日本の俳優陣だからこそ求められる理由がある模様です。※画像:PIXTA

両国にとってWin-Winになる「世界市場を見据えた新しいビジネス戦略」

ゆりこ:私も気になって、韓国の記事や報道を調べて、エンタメ企業で働く友人にも聞いてみました。いろいろな説が出てきた中で、一番要因として大きそうだと感じたのは韓国俳優のギャラ高騰です。元々韓国ドラマは「海外輸出コンテンツ」としての一面を持っていましたが、コロナ禍でさらにアジアを超えて全世界で見られるようになりました。Netflixやディズニー、Amazonといったアメリカ企業が投じる莫大(ばくだい)な資金も入ってくる。動く額のケタが変わってしまったのです。そりゃ、俳優側のギャラの基準も変わってきますよね。

矢野:具体的に日韓でどのぐらいギャランティーに差があるんですか? 作品の規模や、どこで放送されるか、配信される回数によって違ってくると思いますが。

ゆりこ:韓国の記事によると、主演クラスで1話当たり少なくとも2000万円以上。Netflixなどの外資系プラットフォームで配信される作品は3000万円以上も珍しくなく、一部1億円を超えるキャストもいるといいます。一方、日本の民放ドラマは主演でも1話当たり数百万円です。大御所でも500万円を超えることは少ないと聞きます。Netflix作品の主演だと1000万円を超えることがありますが、大河ドラマなどの公共放送では、慣例として主役でも1話50万〜70万円程度なので、文字通り「桁違い」です(※4、5)。

矢野:夢がありますね、韓国での俳優活動。チャンスを得て、世界で顔が売れたら人生が変わりそうです。

ゆりこ:現代のコリアンドリームですね。ただ、演者のギャラが高騰するということは制作陣にとって、喜ばしいことではありません。制作費の半分以上が主演級の出演料に消えてしまうため、採算を取れないケースもあって、ピーク時に年間140本近くあった韓国ドラマの制作数が激減しました。韓国ドラマ制作社協会や放送関係者が「トップ俳優たちの高過ぎる出演料が、韓国ドラマ業界を窮地へ追い込んでいるのでは?」と公の場でガイドライン制定を求める事態にまで発展したこともあります。

矢野:見えてきました。そこで目を付けたのが「日本の人気俳優たち」ですね。確かな実力と話題性を兼ね備えていることはもちろんですが、ビジネス的な観点でも、制作側にとってメリットがあるということですか?

ゆりこ:はい。制作費の多くが主演のギャラに消えてしまうような現在の韓国のバブル相場からすると、日本のトップ俳優らとの仕事は、非常に適正で現実的な予算内で進められるんです。これは決して安く見積もっているわけではなく、単なる両国の市場原理の違いですね。韓国のトップ俳優はスケジュールを押さえるだけでも至難の業ですが、同じ予算をかけるのであれば、確かな演技力を持つ日本の実力派俳優をキャスティングし、同時に日本市場での大ヒットも狙う。制作側にとってのメリットはここにあると思います。

矢野:コストを抑えるための妥協ではなく、予算を有効活用して、作品のクオリティーと日本市場へのアピールを両立させるための前向きな選択なんですね。すごく腑に落ちました。

ゆりこ:加えて、現在の韓国エンタメ界はドラマも映画もスケールが大きくなり過ぎて、国内市場だけではビジネスが完結しにくくなってきています。だからこそ、最初から「海外市場(グローバル)」を視野に入れたプロジェクト作りが活発になっているんです。

矢野:なるほど。韓国国内の枠にとどまらず、最初から世界でヒットさせるための「攻めの戦略」として、隣国である日本の市場や企業と強力なタッグを組もうとしているわけですね。

ゆりこ:韓国から日本の映画会社や企業に積極的なアプローチをかけるのは、次なるグローバル展開に向けた自然な流れと言えます。日韓が共同でプロジェクトを立ち上げれば、おのずと日本の実力派キャストやスタッフが参加することになりますよね。韓国側からすれば日本のトップ俳優を迎えられるのは大歓迎ですし、日本側としても世界基準の作品に参加できる。まさにWin-Winの形です。 

矢野:日本側としても日本で売るための取っ掛かりが必要ですもんね。いずれにしても韓国の制作側の「世界市場を見据えた新しいビジネス戦略」が背景にあるということですね。では逆に、日本の俳優が韓国作品に出る際の、日本側のメリットって何だろうと気になりました。

ゆりこ:日本側の「韓国作品に出演する」理由については後編で。そして韓国における「日本カルチャー」への視線が変わってきている、というお話もしたいと思います。

<参考>
※1:wowKorea「笠松将、韓国作品との縁続く…『復讐代行人3』、『グッドニュース』に続き韓国映画『ミョンド』に出演確定」(2026年1月21日)
※2:CINEPLAY「대세 카사마츠 쇼, 변요한·이솜 주연 영화 '파문' 합류…연기 호흡 기대」(2026年1月9日)
※3:シネマカフェ「『新感染』ヨン・サンホ監督×『ガス人間』小栗旬が最新作で再タッグ!10月にクランクイン!」(2026年9月24日)
※4:ヘラルド経済「“회당 출연료 3억, 너무 심하다했더니” 일본은 3천, 10배 차 ‘충격 실상’…터질게 터졌다」(2025年1月26日)
※5:朝鮮日報「"김수현 회당 출연료 3억? 日톱배우는 300만원"..몸값 논란ing[Oh!쎈 이슈]」(2025年4月10日)

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編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。
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この記事の執筆者: K-POP ゆりこ
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