会社には仕事をしに行くんですよね?——60代社員が「働かないおじさん」と呼ばれても反論できない理由

「職場は仲間がいる居場所」と感じる60代社員。パーソル総合研究所の上席主任研究員・藤井薫氏が、企業とシニア社員の間に生じる「役割期待のズレ」と、シニア自身が隠れた専門性を見つけるヒントを解説します。(画像出典:PIXTA)

※画像はイメージ(画像出典:PIXTA)
※画像はイメージ(画像出典:PIXTA)

「給料や仕事には不満もある。でも、仲間がいる会社へ行くのは好き」——。60代になっても働き続ける人の中には、職場を慣れ親しんだ自分の“居場所”のように感じている人もいます。

パーソル総合研究所の上席主任研究員・藤井薫さんによると、働く60代の役割認識はかなり怪しげです。職場から「担当者として成果を出すこと」を期待されていると考える60代前半の継続勤務者は、半数にも届きませんでした。

なぜ、60代社員は「働かないおじさん」と呼ばれても反論しにくいのでしょうか。藤井さんの著書『定年前後のキャリア戦略 データで読み解く60代社員のリアル』(中央公論新社)より一部抜粋し、職場との認識のずれと、埋もれた専門性を見つけるヒントを紹介します。

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

会社には仕事をしに行くんですよね?

「給料や仕事には不満がなくもないけれど、会社に行くのは好きなんだよね。仲間がいるし、慣れ親しんだ自分の居場所って感じがするからね」

筆者はリモートワーク派で、「効率的に仕事ができるほうがいい。通勤電車に乗るのは極力避けたい」というタイプなのですが、同年代には「会社に行くのが苦にならない、むしろ、会社に行きたい」という人も少なくないようです。

筆者の流儀とは異なりますが、会社に行くのが好きだというのは、ちょっと羨ましい気もします。

念のためですが、会社には仕事をしに行くんですよね?

実は、働く60代の役割認識はかなり怪しげです。

「担当者としてのパフォーマンスの発揮」「上司のサポート」「高い専門性の発揮」「取引先や人脈の伝承」などについて、職場から期待されていると思うかどうかを調べたところ、60代前半の継続勤務者の回答は、どの項目も5割に達していません。

※画像出典:『定年前後のキャリア戦略 データで読み解く60代社員のリアル』(藤井薫・著/中央公論新社)​
※画像出典:『定年前後のキャリア戦略 データで読み解く60代社員のリアル』(藤井薫・著/中央公論新社)​

「担当者としての成果」を期待されている人は半数未満

職場から「担当者としてのパフォーマンスの発揮」が期待されていると考える人ですら、半数もいないのです。驚くべきことです。

企業からすると、それは社員全員に求められる最低限の要求です。もちろん、そんなことは働く60代でなくても、誰しも百も承知のはずです。

すなわち、「担当者としてのパフォーマンスの発揮」が期待されていないというのは、「自分にそれができるとは思われていない」もしくは「例外的に免除されている」という意味だと考えられます。

やはり、企業は60代社員を「半・現役」「半・隠居」扱いしているということです。

継続勤務者だけではなく、転職者や60代後半についてもほとんど同じ状況です。これでは、「働かないおじさん」と呼ばれても反論できないかもしれません。

次ページ
「高度な専門性がない」と見られる60代。埋もれた専門性の見つけ方は?
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『オデュッセイア』4DX版はまったく“苦行”ではない。それでも「まずはIMAX」の理由、予習すべきこととは

  • どうする学校?どうなの保護者?

    20年間「駆け込み実績ゼロ」の学校も…「こども110番の家」は本当に必要? PTAが直面する理想と現実

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    【要注意】東京駅で絶対にハマる「最遠ホーム」と「メトロ乗り換え」の絶望トラップ

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策