転職市場に立ちふさがる「55歳の壁」の正体。企業が50代後半の採用をためらう本当の理由とは?

転職市場に存在する「55歳の壁」。パーソル総合研究所の上席主任研究員・藤井薫氏が、企業が50代後半以降の採用をためらう背景にある「半・現役」観や継続雇用リスク、そしてシニアが活躍できる業界を解説します。(画像出典:PIXTA)

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

正社員採用で生じる「65歳までの継続雇用義務」

もう1つ理由を挙げるなら、65歳までの継続雇用義務を考慮する必要があります。

60代前半社員について、モチベーションに課題感を持つ企業は44.3%、本人の健康に課題感を持つ企業は36.2%です。

60歳定年の企業でも正社員として採用すると、65歳までの継続雇用義務が生じます。採用時点ではモチベーションや健康に問題がなくても、ほんの数年後には懸念対象になってしまいます。そして、60歳以降のほうが雇用期間は長いのです。

企業にとって、そのリスクは小さくありません。採用するにしても、継続雇用義務の発生を避けるために、正社員ではなく、定年制が適用されない契約社員として採用しようとする企業も少なくないかもしれません。

60代でも活躍できる3つの業界

60代の転職については、転職エージェントも「あまりサポートできておらず、実績は多くない」状況です。しかし、中には60代前半だけでなく、65歳以上でも活躍できる業界もあり、不動産業、サービス業、建設業の3つが知られています。

サービス業では、特に宿泊、飲食、介護が慢性的な人材不足、建設業では技術者や現場の職人の高齢化が進んでおり、公的資格保有者は引く手数多であるとされています。

このように、特定の業界であったり、特別な経験・スキルを持っていたりする人を除くと、多くの50代後半、60代にとって「これまでのように稼げる」転職先を探すことは簡単ではないということを覚悟して臨む必要があります。

定年前後のキャリア戦略-データで読み解く60代社員のリアル (中公新書ラクレ 862)
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著者:藤井 薫(パーソル総合研究所 上席主任研究員)
電機メーカーの人事部・経営企画部を経て、総合コンサルティングファームで20年にわたり人事制度改革を中心としたコンサルティングに従事。その後、ソフトウェア開発企業の取締役を経て、2017年にパーソル総合研究所入社。2020年4月より現職。

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