毎年のように起きる“プール出しっぱなし事故”の構造的理由
数年に一度、「プールの水を出しっぱなしにして数十万円の損害が発生した」というニュースを目にします。報道を見るたびに「自分も気をつけなくては」と気持ちを引き締めています。こうした事案にはさまざまな原因がありますが、個人的には「学校設備の扱いにくさ」も関係していると感じます。
学校のプールは、ご家庭のお風呂のようにボタン1つで水をためられるものではありません。
栓を閉めるにしても、まずマンホールのようなふたを開け、排水口を棒状のハンドルで力いっぱい回す必要があります。回し切っても「カチッ」などの手応えや合図はありません(設備によってはあるかもしれませんが)。
プール掃除がある日は、その日の昼ごろからプールの水を抜き始めます。水が入ったままだと掃除できないからです(暑さ対策のために子どもたちがプールに入れない日が続いても、プール掃除は予定通り行うことが多いです)。
水の量が多く抜き切るまでに時間がかかるため、学期中は水がほとんどなくなった放課後に掃除を行います。そして掃除が終わったあと、プールの栓を閉めて水をため始めます。
しかし、水をためるのは抜くとき以上に時間がかかります。ずっと見張っているわけにもいかず、たまりきったか確認できるのは退勤した翌朝ということもあり得ます。そのタイミングで「全くたまっていない(栓がしっかり閉まっていなかった)」と気付くリスクが存在します。
あとは、プールが学校の敷地内のどこにあるかも重要なポイントです。
例えば、職員室や教室から見えやすい場所にあれば、誰かしらが異変に気付いてくれるかもしれません。
しかし最近は屋上プールも増えており、そうなるとわざわざ見に行くのは担当職員のみとなってしまいます。多くの人の目に入る場所に位置しているかどうかも、出しっぱなし事故を防ぐ大きな要素だと感じます。
とはいえ、これらの問題のために設備改善をするのは難しいのが現状です。現在はどの学校でも対策を立て、複数人で確認を行った上で対応されていると思います。 松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊『がっこうとコロナ』(教育報道出版社)など著書多数。Voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。



