学校の先生が「保育園で実習」? 現役教師に知られざる「夏の研修事情」を聞いてみた

夏休みは先生たちにとって、指導力を高めるための勉強をする絶好のチャンス。時には学校を飛び出して、ハードな研修内容をこなすこともあるのだそうです。その実態を現役の小学校教師にお聞きしました。(画像提供:PIXTA)

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先生が夏休みに受ける研修とは?(画像提供:PIXTA)
普段は子どもたちに授業を行っている先生たちですが、実は夏休み中は研修や研究会などで「勉強する側」になっていることをご存じですか?

最新の指導方法はもちろん、日々情報が更新されていく安全教育や子どもの発達に関する知識などを、長期休みを活用してアップデートしています。

今回は、現役の小学校教師である松下隼司先生に、先生たちの夏休みの学びのリアルについてお聞きしました。

(質問)

夏休み中、先生たちはどんなことをしているのですか?

(回答)

規則で定められた年次研修のほか、自分が興味関心のある分野の研修や講演会、セミナーなどに参加して知見を広げています。

どういうことか、詳しく解説します。

授業がない夏休み、先生は何をしている?

夏休みは校内の業務を中心に行っていますが、授業がない分、いつもよりも時間の余裕があります。そこで研修や各教科の研究会に参加される先生が多いです。

まず、自治体で受講が義務付けられている研修があります。これらは全員が受けなければいけないものもあれば、先生の年次ごとに内容が違うものもあります。

研修の内容は、いじめなど生徒指導に関わるものから、学習評価の在り方といった学習指導に関わるものまで多岐にわたります。

そのほか、興味のあるものに自分で申し込んで参加するケースもあります。

実はどの教科にも全国規模、都道府県規模で研究組織があるのですが、その研究大会が夏に行われることがとても多いです(もちろん、夏以外に開催される場合もあります)。そこに参加し、全国の先生方による授業の実践例を聞いて勉強します。

それ以外に、大学の先生の講演会などもあります。例えば私は、昨年の夏、「非認知能力」についての講演会に参加しました。

文字通り、数値では測れない人間の内面的な能力をどう育てていくのかという話だったのですが、「こういう声掛けが大切なんだな」「これは授業で生かせそうだ」と思うことが多く、とても勉強になりました。

自分の興味があることや課題に感じていることを学びに行けるのは、とてもありがたいです。夏休みに研修会の予定をいくつか入れている先生は多いので、皆さん自ら意欲的に学んでおられるのだと思います。

保育園や介護現場でもまれる、先生1年目の「夏の修行」

先ほども少し触れましたが、学校の先生は年次によってさまざまな研修が義務付けられています。

その中で、1年目の夏に保育園での仕事を3日間ほど経験させていただく研修がありました(※「初任者研修」という制度。日数や研修場所は学校や自治体により異なる)。

私は保育園での研修だったのですが、それ以外にも介護施設での体験などがあり、そこではお風呂や食事の介助などをするそうです。

保育園での仕事は普段と全く違うので大変だった記憶がありますが、同じ子どもでも小学生と未就学児では必要な気遣いや言葉掛けが全く違い、とても勉強になりました。

こうした研修は、教師の実践的指導力や使命感を養うとともに、広い知見を得させることがねらいだそうです。

実際にこのような研修のおかげで、子どもや先生同士との人間関係の築き方、仕事の工夫の仕方など、視野が広がったと思います。

また、現在は廃止されましたが、かつては「教員免許更新制度」(令和4年に廃止)というものがあり、更新に必要な講習を夏休みに受講していました。

免許更新には30時間以上の受講が必要という条件があり、たまたま更新の年と10年次研修の年が重なって大変だった記憶があります……。2学期の運動会のダンス指導の準備と、研究授業の指導案作成もあった年でした。

コロナ禍以降、こうした研修をオンラインで受講できることも増え、先生たちの学びの機会は広がっています。それが夏休み明け以降の指導にも生かされていることと思います。 松下 隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊『がっこうとコロナ』(教育報道出版社)など著書多数。Voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
大塚 ようこ
この記事の執筆者: 大塚 ようこ
フリーランス編集・ライター
フリーランス編集・ライター。子育てや教育、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。 ...続きを読む
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