人間関係はいいけど給料は微妙な職場、転職すべき? “年収を上げるためだけ”の転職にひそむリスク

転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『type』編集長の三ツ橋りさが回答します。今回のテーマは「給料のための転職」についてです。

夏休みなのに貯金ゼロ。新卒から7〜8年勤めて居心地は最高なのですが、給料を上げるためだけに転職すべきでしょうか?
新卒から7〜8年勤めて居心地は最高なのですが、給料を上げるためだけに転職すべきでしょうか?

転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『type』編集長の三ツ橋りさが回答します。今回のテーマは、「給料のための転職」についてです。
 

(質問)
夏休みなのに貯金ゼロ。新卒から7〜8年勤めて居心地は最高なのですが、給料を上げるためだけに転職すべきでしょうか?

 

(回答)
良好な人間関係や安心感がある職場は、簡単に見つかるものではありません。転職でこれらをリセットするリスクを考えると、焦って外に出る前に、まずは「今の環境のまま収入を増やす方法」や「お金の使い方」を見直すのが先決です。


詳しくは以下で解説します。

快適な環境を手放す前に。知っておきたい「人間関係」のリスク

新卒から7〜8年勤め、「居心地が最高」と思える職場で働けているのは、実は非常に恵まれています。「人間関係への不満」は転職理由の常に上位にランクインしているからです。

会社が変われば、これまで築いてきた信頼や心地よい関係は全てリセットされます。またイチから人間関係を構築し直すのは、想像以上にエネルギーを使うものです。

年収は自分の努力で変えられますが、「自分に合った社風や人間関係」に出会えるかは運の要素が強いもの。給料アップと引き換えに、今の快適さを手放して本当に後悔しないか、まずは一度立ち止まって考えてみてください。

転職を決断する前に! 今の会社で試せる3ステップ

仕事内容や人間関係に満足しているなら、すぐに転職活動を始める必要はありません。まずは今の環境のまま年収を引き上げられないか、以下の3ステップを試してみましょう。

・Step 1:市場相場と比較して自分の「現在地」を知る

転職サイトのシミュレーションツールやエージェントの無料相談を使い、自分の給与が世間一般と比べてどうなのか客観的に把握します。相場より明らかに低ければ会社の水準に問題がありますが、相応であれば「昇給するためにより高い役割を目指す」など、次にすべき行動が見えてきます。

・Step 2:上司へ前向きに昇給の相談をする

不満をぶつけるのではなく、「この大好きな職場で長く活躍したいから相談する」という姿勢が大切です。会社への愛着を伝えつつ、昇給に必要な条件を具体的に問い掛けてみましょう。

【交渉のセリフ例】「今の仕事も人間関係もとても満足しており、これからも長く貢献したいと考えています。ただ、年齢的な節目を迎え、将来の生活設計を見据えたときに、現在の貯蓄状況に少し不安を感じておりまして……。今後、目標とする給与水準に引き上げていくために、私にどのような成果やスキルアップが求められるか、アドバイスをいただけないでしょうか?」

・Step 3:社内での「新しい道」を探る

今の部署で目標(数値達成や新しい業務への挑戦など)を明確にするか、もし今の部署での昇給が難しければ、インセンティブのある他部署への異動を模索しましょう。仕事の進め方を熟知している分、転職よりも圧倒的にストレスを少なく抑えられます。

大幅な年収アップの裏に潜むプレッシャー

現職の可能性を検討した上で、やはり他社での年収アップを目指すなら、それに伴う「代償」も知っておく必要があります。

大幅な年収アップは、新天地から「即戦力としての高い成果」や「明確な付加価値」を厳格に求められることの裏返しです。期待値が高い分、プレッシャーも強くなります。

キャリアの現場では、「年収は増えたけれど、求められる責任が重過ぎて、前の方が自分らしくのびのび働けた」「外に出て初めて前職のありがたみを知り、出戻りを選択した」というケースも珍しくありません。

「貯金ゼロ」を解決する、転職以外の3つのアプローチ

今回の焦りの引き金は、給料の低さそのものよりも「貯金ゼロ」という現状にあるはずです。だとしたら、リスクを冒して転職する前に、「今の居心地のよい環境」をキープしながら資産を増やすアプローチを実践してみましょう。

1.「家計管理アプリ」で支出の見える化(まずはここから!)

給料が上がっても、支出のコントロールができなければ貯金は増えません。まずは家計管理アプリを導入し、何にいくら使っているかを自動で「見える化」しましょう。無意識に使っていた固定費や変動費を見直すだけで、転職せずとも毎月数万円の「貯金原資」が生まれることは多々あります。

2.今の環境を生かした「副業」への挑戦

現在の職場が「居心地がいい=業務をコントロールしやすく、精神的・時間的なゆとりがある」状態なら、副業を始める絶好のチャンスです。本業のスキルを生かしたクラウドソーシングや、趣味を生かしたスモールビジネスなどで「月3万〜5万円」を稼ぐことができれば、本業でそれだけ昇給するよりも早く、確実に手取りを増やせます。

3.少額からの「投資(新NISAなど)」で仕組み化

家計の見直しや副業で数千〜数万円の余剰資金ができたら、新NISAなどを活用して「毎月自動で積み立てる投資」を始めましょう。給料日直後に自動で引かれる仕組みを作ってしまえば、意思の力に頼らずとも、数年後には「貯金ゼロ」から確実に脱却できます。

それでも転職したいと思ったら

これらの対策や現職での交渉を試みても、やはり将来に物足りなさを感じるのであれば、そのときこそ自信を持って転職活動をスタートさせましょう。「今の職場の居心地が最高である」という事実は、転職活動において強力なお守りになります。生活基盤と精神的な余裕を持ったまま進められるため、妥協せずに対等な立場で企業を厳選できるからです。

そもそも「居心地」と「給料」は、二者択一ではありません。まずは自分の家計やキャリアの基準をクリアにすることから始めてみてください。後悔のない素晴らしい選択ができるよう、心より応援しています。
三ツ橋 りさ
この記事の執筆者: 三ツ橋 りさ
『type』編集長
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Woman type』の編集を経て、転職サイト『女の転職type(旧・女の転職@type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。13年04月~15年12月まで『女の転職type(旧・女の転職@type)』の編集長に就任。産育休を経て16年11月より転職サイト『type(旧・@type)』の編集長として復職。19年10月より2度目の産育休を取得し、21年5月に復職。21年6月からtype編集長に就任し現在に至る。   type■https://type.jp/   女の転職type■https://woman-type.jp/ ...続きを読む
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