(質問)
エンジニアなのに内定がでません。SESで働く2年目のエンジニアです。エンジニアは人手不足で、今は有利なはずでは?
(回答)
おっしゃる通り、IT業界では今もエンジニアが足りない状況が続いています。ただ、AIの台頭によって若手にも「自分で考えて動く力」や「すぐに活躍できるスキル」を求める企業が増えてきました。AIに任せられないような「経験の積み重ね」を作ることが、これから先のあなたの価値を高める近道になるはずです。
詳しくは以下で解説します。
「エンジニアが有利」な現状にもやや変化が
IT業界は今も求人が多く、エンジニアが仕事を選びやすい状況に変わりはありません。ですが、求人の中身は、大きな変わり目を迎えています。これまでは「人手が足りないから未経験でもOK」という時期もありましたが、コロナ禍に未経験者や経験の浅い層を大量採用した企業が、現在はその育成フェーズに苦戦しているという背景があります。そこに昨今のAI普及も重なり、企業の採用の仕方が変わったことで、求められるスキルのハードルが少しずつ上がっているのがリアルな現状です。
採用の現場を見てみると、以前は未経験や経験の浅いエンジニアを1から育てる余裕のある会社がたくさんありました。ところが今は、教える側のベテラン層が足りないという壁にぶつかっている会社が増えています。その結果、企業が求めている人材は「手取り足取り教える必要がある若手」ではなく、現場を引っ張れるマネジメント力があったり、自力で仕事を進められたりするようなスキルの高いエンジニアに集中してしまっているのです。
もし内定がなかなか出ないのだとしたら、会社側が期待する「2年目ならこれくらいは自力でできるだろう」というイメージと今のあなたの状態に、少しズレがあるのかもしれません。
AI時代に必要とされる「コードを書くことの先」を見据えたスキル
今、エンジニアを取り巻く環境で一番の変化といえば、やはりAIの存在です。半年~1年前と比べても、プログラミングのやり方はガラリと変わりました。簡単なコードくらいはAIがパッと作れるようになった今、指示された通りにコードを書くだけのスキルは前ほど重宝されなくなってきています。これからの若手エンジニアが意識して身につけていきたいのは、「AIが作ったものを正しく評価し、より良く磨き上げる力」です。AIが書いたコードにミスがないか、後から修正しやすいかなどを厳しくチェックし、必要に応じて手直しする力は、これからますます必要とされるでしょう。
また、AIは「答えを出すこと」には長けていますが、「何を解決すべきか」という本質的な問いを立てたり、チームを動かしてプロジェクトを完遂させたりすることはできず、これは人間にしか果たせない役割です。これからは特定の技術だけでなく、ビジネスの視点や使いやすさ(UI/UX)といった技術以外の視点を掛け合わせることで、AIに代替されないエンジニアとして活躍していけます。
AIが技術的な作業を代わりにやってくれるようになる分、エンジニアの役割は、技術そのものだけでなく、もっと上流工程の企画フェーズや、チームの調整役へと広がっていきます。もし今の職場で顧客との打ち合わせやチーム間の調整に関わるチャンスがあるなら、それはAI時代を生き抜くためのスキルを磨けるいい経験になります。積極的に挑戦してみましょう。
転職をせずに、今の場所でスキルを磨くという選択肢も
転職活動で思うような結果が出ないと、「どんな会社でもいいから早く内定がほしい」と焦ってしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、エンジニアとして2年目という時期は、基礎を固めて自分の得意分野を見つけるための、とても大切な時期でもあります。もし現在の市場に対して、自分のスキルが厳しいと感じる場合は、今すぐ転職することだけが正解ではありません。今の職場で「小規模なタスクの進行管理を率先して引き受ける」「チーム内の情報共有やマニュアルの整備を主導する」「後輩や新しく入ったメンバーのフォローを担当する」といった、周囲を動かすアクションを積み重ね、職務経歴書にしっかり書ける「中身のある経験」を作ってみてはいかがでしょうか。そうして得た自信は、面接の場で言葉の重みとして必ず面接官に伝わります。
今は焦って飛び込むよりも、市場の動きを冷静に見極め、自分のスキルや経験を整理する準備期間が必要なのかもしれません。あなたのキャリアはまだ始まったばかりです。今の試行錯誤が、数年後に「あのとき立ち止まって考えてよかった」と思える力になることを願っています。
この記事の執筆者:
三ツ橋 りさ
『type』編集長
2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Woman type』の編集を経て、転職サイト『女の転職type(旧・女の転職@type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。13年04月~15年12月まで『女の転職type(旧・女の転職@type)』の編集長に就任。産育休を経て16年11月より転職サイト『type(旧・@type)』の編集長として復職。19年10月より2度目の産育休を取得し、21年5月に復職。21年6月からtype編集長に就任し現在に至る。 type■https://type.jp/ 女の転職type■https://woman-type.jp/
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